英国、カリブ海の麻薬密輸船情報の米国提供を中止…カナダも距離置く
トランプ軍事作戦、国際法違反の懸念広がる

英国が、カリブ海の麻薬密輸船に関する情報を今後米国に提供しない方針を決めた。
CNNは11日(現地時間)、消息筋の話として、英国がドナルド・トランプ米政権によるベネズエラ麻薬カルテル船への軍事攻撃方針を受け、このような決定を下したと報じた。
カリブ海一帯に広大な植民地を有していた英国は、現在も複数の英領地域に情報収集拠点を保持している。これまで英国は、麻薬を運搬していると疑われる船舶の位置情報などを米国に共有してきた。
米国沿岸警備隊は、英国からのこうした情報を基に麻薬密輸船の摘発を行っていた。
しかし最近、トランプ政権がベネズエラの麻薬カルテルを「テロ組織」として指定し、軍事力の行使に踏み切る可能性を示したことから、英国政府内で懸念が広がったという。
英政府内では、麻薬密輸船への米軍の軍事攻撃を国際法違反とみなす見方が少なくなかったとされる。英国が提供した麻薬関連船舶情報が、こうした攻撃の標的選定に使用されれば、国際法違反行為に加担することになるとの判断が背景にある。
このため、英国はおよそ1か月前から米国への情報提供を停止しているという。

また、米国の主要同盟国であるカナダも、米軍による麻薬密輸船攻撃への関与を避ける姿勢を示していると伝えられている。
カナダは約20年間にわたり、米国沿岸警備隊と協力してカリブ海の麻薬密輸船摘発にあたってきたが、最近になって「自国が提供する情報が米軍の攻撃に利用されることは望まない」との立場を明確に米国側に伝えたという。
カナダ国防省の報道官も現地メディアに対し「米国沿岸警備隊との協力と、米軍による麻薬関連船舶への攻撃は別個の活動だ」と説明している。
一方、米軍はカリブ海でベネズエラの麻薬カルテル「トレン・デ・アラグア(TdA)」の構成員11人が乗っていた麻薬運搬船を空爆するなど、麻薬密輸が疑われる船舶への攻撃を継続している。
米軍の攻撃により、現在までに76人が死亡したとされる。
さらにトランプ政権は、カリブ海に原子力推進の高速攻撃型潜水艦1隻や空母打撃群を派遣し、周辺地域にはF-35戦闘機を配備するなど、ベネズエラのニコラス・マドゥロ政権への圧力を一段と強めている。














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