
中国官営メディアの元幹部が、日本の外交官と食事中にスパイ容疑で身柄を拘束され、その後の裁判で有罪判決が確定したと、国際ジャーナリスト権益保護団体・ジャーナリスト保護委員会(CPJ)が13日に明らかにした。
CPJによると、北京市高級人民法院は同日、スパイ罪で起訴されていた董郁玉(63)『光明日報』の元副編集長の控訴を退け、懲役7年を言い渡した一審判決を確定させた。中国の司法制度は二審制のため、これで有罪が最終確定したことになる。
董氏は北京大学法学院を卒業後、1987年に中国共産党中央宣伝部系の光明日報に入社し、30年以上にわたりコラムニストとして活動した。最高指導部への露骨な批判は避けつつも、自由主義的な立場から改革を支持する論調で知られた。
また、ハーバード大学や慶應義塾大学、北海道大学で客員研究員を務め、米国や日本の外交官、ジャーナリスト、研究者らと幅広い人脈を築いてきた人物としても知られる。特に垂秀夫・前駐中国大使とは親しく交流していたという。
事件が起きたのは2022年2月、北京市中心部のレストランで日本の外交官と昼食を取っていた董氏は、突如当局に拘束された。日本の外交官は数時間の取り調べ後に解放された一方、董氏はスパイ容疑で正式に起訴され、以降は拘束下で非公開の裁判にかけられた。
一審を担当した北京市第二中級人民法院は昨年11月29日、懲役7年を宣告し、その判決文では日本外務省の情報担当部門を「スパイ組織」と位置づけたため、日本側が中国政府に抗議する事態にも発展した。
董氏の息子である董一夫氏はCPJに対し、「この事件は純粋に政治的なものだ」と語り、中国で強まる言論統制を象徴するケースだと指摘した。CPJによれば、董氏が拘束されて以降、一度も家族との面会を許されていないという。
中国外務省の林剣報道官は同日の記者会見で、「中国は法治国家であり、司法機関は法に基づき厳格に事案を処理している」と述べ、「違法行為があれば、法に沿って必ず裁かれる」と主張した。
















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