
「無制限の友情」を掲げてから3年が過ぎ、ロシアと中国の関係が当初とは異なる形で偏り始めている。特に西側制裁の影響を中国が緩和する過程で、ロシアが制裁対象の中国製品を「友情価格」ではなく、むしろ割高で調達しているとの分析が浮上している。
フィンランド銀行・新興経済研究所(BOFIT)が最近公表した報告書では、ロシアが中国から輸入した制裁対象品の価格中央値が2021年から2024年にかけて87%上昇したと指摘した。一方、同じ品目を他国から輸入した場合の価格上昇幅は9%にとどまっていた。
報告書は、EUが「優先管理品目」として分類するベアリングを例に挙げた。中国の対ロシア輸出額は2021年以降76%増えた一方、輸出量は13%減っており、1個あたりの価格がほぼ倍に跳ね上がったと分析された。円錐形ローラーベアリングでは単価が約4倍まで上昇し、いずれも産業と軍需で不可欠な部品として扱われている。
BOFITはこうした事例を踏まえ、「貿易制裁がロシアの重要物資へのアクセスを実質的に狭めている」と評価した。利益を得ているのは中国だけではなく、トルコの対ロ輸出でも制裁対象品の価格が他品目より25〜55%高くなる傾向が確認された。全体として、制裁対象品は非制裁品より平均で約40%高い水準にあると分析された。
一方、キャピタル・エコノミクスの分析では、ロシアと中国の二国間貿易額が2025年1〜9月に前年同期比で9%減ったとされる。2020〜2024年にかけて貿易額が急増してきた流れとは異なる動きがみられる。
現在、中国はロシアの輸出の約30%、輸入の約50%を占めるが、ロシアは中国の輸出全体の3%、輸入全体の5%にとどまり、双方の比重には大きな差がある。西側の二次制裁リスクを気にする中国企業が増えているため、中国がロシア向け供給網を大規模に移す気配はほとんど確認されておらず、ロシアに対する外国直接投資も限定的な水準にとどまっている。
キャピタル・エコノミクスは「ロシアと中国の関係は現在も、今後も非対称的な構図が続く」とみている。その上で「中国にとってロシアは経済的に必要度が低く、ロシアが求めても中国が応じる範囲には限界がある」と分析した。
こうした見方は、クレムリンがウクライナ戦争の終結と制裁解除を巡る協議の過程で、米国側に複数のビジネス案件を示してきたとされる状況とも重なっている。現在のロシア経済は、増産の壁、人材不足、財政余力の低下、西側技術の欠如が重なり、さまざまな局面で行き詰まりが生じている。
カーネギー・ロシア・ユーラシアセンターの研究員で、ロシア中銀の元顧問アレクサンドラ・プロコペンコ氏は先月、外交専門誌「フォーリン・アフェアーズ」に寄稿し、「ロシアがより多くの装備を生産し、より多くの兵士を訓練するためには、第二次世界大戦時のようにすべての資源を軍事に振り向ける総動員体制に移行するか、民間生産ラインを軍需に転用する必要がある」と指摘した。















コメント0