投資家は買い、プーチン大統領は売る…金が見せる二つの顔
制裁に直面したロシア、金で戦争資金を調達…世界は「安全資産」に殺到

金が世界で「二面性」を見せている。戦争や物価不安のなか、投資家にとっては安全資産としての存在感を高める一方、ロシアにとっては西側制裁を回避して戦争を続けるための「生存資金」となっている。
制裁と経済難の中で依存強まるロシアの「黄金の命綱」

英紙テレグラフは30日(現地時間)、「ロシアが制裁や物価高騰、経済苦境にもかかわらず、20年近く蓄えてきた金が戦争経済の支えとなっている」と報じた。
報道によると、ウラジーミル・プーチン露大統領の側近勢力やロシア系民間軍事会社は中央アフリカ共和国(CAR)、ブルキナファソ、マリなどアフリカ各地で金鉱山を掌握し、現地住民への殺害や拷問など人権侵害で悪名をとどろかせている。特にワグネルは2021年から支配するンダシマ鉱山で、最近になっても現地採掘者十数人を殺害したとされる。
テレグラフは「この鉱山の金埋蔵量は10億ドル(約1,557億6,675万9,364円)に上る」とし「ロシアは西側の金融網から孤立した後、金をドルやユーロに代わる決済手段として使用している」と伝えた。
「金で武器を買い、ドローン工場を設立」…イラン・北朝鮮との取引疑惑も

英国の軍事政策研究機関RAND Europeは最近の報告書で「ロシアが金を用いて国家間決済や武器・資金取引を行っている」と指摘した。
また米シンクタンクC4ADSは、ロシアがイランに約1億400万ドル(約162億364万5,138円)分の金塊を渡し、軍用ドローン産業の構築支援を受けた形跡を公表した。
当局関係者は、ロシアが北朝鮮との武器取引にも金を使ったとみている。
中央銀行の買い越し+不安定な世界経済…金価格は最高値目前
ロシア金融監督庁長官も「ロシア企業が金と暗号資産を併用して国際決済を行っている」と認めた。ロシア中央銀行は先週、保有金の売却に踏み切り、国家予算の補填に充てると発表した。
一方、世界の金融市場は金の安全資産としての役割に改めて注目している。
米 CNBCは28日、ゴールドマン・サックスの調査を引用し「機関投資家900人余りのうち36%が、来年末に金価格が1オンス=5,000ドル(約77万8,969円)を突破すると予測している」と伝えた。さらに33%が4,500ドル(約70万1,051円)から5,000ドルの範囲を予測し、全体の回答者の7割以上が上昇を見込んでいるという。
今年の金価格はすでに年初比58%以上急騰し、10月8日には史上初めて1オンス=4,000ドル(約62万3,156円)を突破した。
戦争の資金源であり、投資家の避難先…金の二面性

CNBCは、各国中央銀行の金買い増し、インフレや地政学リスク、ドル安懸念が上昇要因になっていると分析した。
専門家「ESG投資を考慮すべき…透明な供給ルートが重要」
金は現在、ロシアにとっては制裁回避と戦争継続のための資金源、投資家にとっては不安定な経済状況のなかで価値を守る手段として機能している。特に、ロシアが金を実際の予算運用や武器取引に活用している報告が相次ぎ、単なる貴金属投資ではなく、地政学的リスク資産としての性格が一段と強まっている。
投資家に投げかける示唆
金価格上昇の中でも専門家は「倫理的投資」の重要性を強調する。国際人道支援団体スイスエイドの関係者は「ロシアが支配するアフリカ産の金をアラブ首長国連邦(UAE)経由でマネーロンダリングし、世界市場へ流している」と指摘した。
このため環境・社会・企業統治(ESG)を重視する世界の投資家にとって、金の流通経路や供給網の透明性が重要な判断基準となっている。
専門家は、投資家が金ETFや金預金など資産配分を行う際、価格動向だけでなく「倫理的な供給網」や地政学リスクを併せて考慮すべきだと助言する。また長期的には、「ロシアや中東を巡る緊張が解消されるまで、金価格は高値圏での推移が続く可能性が大きい」と見ている。














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