戦争での使用は不可…訓練や潜水艦運用能力向上に活用
インド政府関係者、11月にロシアの造船所を訪問

インドがロシアと約20億ドル(約3,000億円)規模の原子力潜水艦の賃借契約を結ぶ見通しだと、4日(現地時間)付で「ブルームバーグ通信」が複数の関係者の話として報じた。
関係者によると、両国の原子力潜水艦をめぐる賃借交渉は価格をめぐって数年間膠着していたものの、現在は契約で合意に達しており、先月にはインド政府関係者がロシアの造船所を訪問したという。
インドは、賃借するロシア製原子力潜水艦を実践に用いることはできないという。関係者によれば、この潜水艦はインドが自国の原子力潜水艦を建造する過程で、海軍要員の訓練や運用能力の習得に活用する目的で貸与される。
今回の契約には、潜水艦の維持・保守作業も含まれており、10年間にわたりインド海軍に配備される予定だ。インドは過去にもロシアから原子力潜水艦を賃借しており、2021年に返還している。
関係者によると、インド側は今後2年以内の引き渡しを見込んでいるものの、プロジェクトが複雑なため実際の受け渡し時期はさらに遅れる可能性があるという。
今回の原子力潜水艦の賃借契約は、ウラジーミル・プーチン露大統領のインド訪問を前に進められた。プーチン氏がインドを訪れるのはウクライナ戦争以降初めてで、訪問中にナレンドラ・モディ首相と会談し、防衛やエネルギー分野での協力強化を確認する見通しだとされる。
インドは、ドナルド・トランプ米大統領がロシアの資金源を断つことを狙い、インド産輸入品に50%の関税を課した措置の影響を受けている。インドは中国に次ぐロシア産原油の主要輸入国でもある。
一方、ロシアは米国の圧力にもかかわらず「戦略的自律性」を掲げ、中国との関係強化を進めてきた。今回の原子力潜水艦の賃借契約もこうした路線の延長線上にあるとみられる。













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