
ロシア政府が米トランプ政権・行政府の「新・国家安全保障戦略(NSS)」について「概ね我々のビジョンと一致する」と歓迎の姿勢を示した。Newsisの報道によると、ガーディアンなどの情報で、クレムリン(ロシア大統領)のドミトリー・ペスコフ報道官は7日(現地時間)、「モスクワはこれを前向きな変化と捉えており、(新NSS)は以前の文書と異なりロシアを『敵国』と呼んでいない」と述べたという。
トランプ政権が5日に発表したNSSにはロシアを「米国への脅威」と認識する言及が一切ない。代わりに「ウクライナ戦争により多くの欧州人がロシアを実存的脅威にみなしている」と記述している。さらに、ウクライナ戦争の長期化に関して「欧州の非現実的な期待」を指摘し、米国を欧州の同盟国ではなくロシアと欧州間の交渉仲介者と位置付けた。
NSSはまた、北大西洋条約機構(NATO)について「『絶え間なく拡大する同盟』という枠組みから脱却すべきだ」と強調した。ロシアは米国が冷戦終結時に「NATOは東方に拡大しない」と約束しながらこれを正面から破ったと不満を表明してきたが、事実上ロシアの認識を反映した文言が米国の国家戦略に明記されたことになる。
ポリティコはこれについて「冷戦時代に敵対関係にあった両国が今年初めのドナルド・トランプ米大統領復帰以降、はるかに接近したことを示す部分」とし、「ロシアは慎重に歓迎した」と評価した。ロシアはさらに、トランプ政権のこうした方針転換が伝統的な主流勢力によって妨害される可能性を懸念した。
ペスコフ報道官は「(NSSが)概念的には美しく書かれていても、いわゆるディープステート(政府内の隠れた権力集団)が異なる行動をとる場合があることを我々は知っている」と述べ、「明示された概念がどのように実現されるか注意深く見守る必要がある」と語った。ポリティコはペスコフ報道官の「ディープステート」への言及について、「選出された政治家の改革を妨げる官僚主義や、陰で政府を操っているとの疑いを持たれるエリート集団に関する陰謀論を指している」と説明した。
一方、専門家らもトランプ政権の新NSSがロシアの抑止を事実上放棄した点を指摘し、懸念を表明した。アトランティック・カウンシルの上級研究員トーリー・タウシグ氏(Torrey Taussig)は「ロシアが大西洋の安全保障に与える従来型の脅威を軽視し、言及すらしていない」とし、「今回のNSSは政権が欧州の同盟国と共に達成しようとする目標を損なう自殺点のようなものだ」と指摘した。
イタリア国際問題研究所(IAI)のナタリー・トッチ所長はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に対し、「この文書は米国、中国、ロシアという3大強国が主導する世界に関するかなり一貫したビジョンを示している」とし、「(米国は)欧州を米国かロシアのいずれかの支配を受ける存在として見ていることがかなり明確だ」と述べた。














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