
北朝鮮経済が国際社会の厳しい制裁にもかかわらず、予想外の成長を見せていると米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。
ロシアとの軍事協力や中国との貿易拡大が新たな追い風となり、金正恩総書記率いる北朝鮮政権は過去にないほど潤沢な資金を確保しているとの見方が出ている。
WSJは8日(現地時間)「世界で最も驚くべき経済成功例は北朝鮮」と題した記事で、北朝鮮が近年、顕著な経済変化を経験していると伝えた。WSJは「政権はかつてないほど豊かになった」と指摘し、ロシアと中国という2つの友好国が北朝鮮経済回復の原動力になっていると分析した。
報道によると、北朝鮮はロシアへの大規模な兵器・弾薬供給や兵力派遣を通じて、多額の外貨を獲得したとみられる。一方で、中国からは各種物資や資金支援を受けており、それを背景にエネルギーや産業用部品、建設資材などの輸入も拡大している。国際制裁下にありながら、新たな経済循環網を構築したとの評価もある。
最も大きな変化が見られるのは平壌だ。新型コロナウイルス禍で国境を閉鎖していた北朝鮮は、最近になって限定的ながら外国人の入国を許可している。
数年ぶりに北朝鮮を訪れた外国人らは、かつてとは大きく様変わりした平壌の姿を目にしたという。
平壌ではスマートフォンのアプリでタクシーを呼び、車両の位置をリアルタイムで確認できるサービスが運用されている。飲食店ではQRコード決済が利用でき、中国製の電気自動車や輸入車も街中を走る。ペットショップやインターネットゲームカフェ、自動車販売店など、かつての北朝鮮では見られなかった商業施設も登場している。
金正恩総書記は近年、大規模な建設事業も推進している。昨年は平壌で1万戸規模の新築住宅が供給されたとされる。平壌の和盛地区をはじめ各地で超高層マンション群が建設され、新たな商業施設や文化施設も相次いで整備されている。
経済指標にも改善の兆しを見せている。WSJは北朝鮮経済が2024年に3.7%成長し、過去8年間で最高の成長率を記録したと報じた。衛星画像の分析では、石油貯蔵施設の稼働が活発化しているほか、夜間の照明の明るさも5年前の約3倍に増加したことが確認された。駐車場の車両数も増えるなど、経済活動の拡大を示す動きが捉えられているという。
ただし、こうした繁栄が北朝鮮全体に広がっているわけではないとの指摘もある。
平壌や一部の特権層に恩恵が集中する一方、地方の状況は依然として厳しい。国際連合の資料によると、多くの北朝鮮住民が栄養不足の状態に置かれているという。国内総生産(GDP)全体も米国の1%に満たず、人権状況も世界最悪レベルとの批判が続いている。
WSJは北朝鮮経済の回復が米国の対北朝鮮戦略にも新たな変数となっていると分析した。これまでは経済的圧力が北朝鮮を交渉の場に引き出す有力な手段だったが、ロシアと中国の支援によって制裁効果が弱まり、北朝鮮側の交渉の必要性も低下しているという。
北朝鮮の最近の経済回復は市場改革や生産性向上の成果というより、地政学的な環境変化による特異な状況に近いとの見方が強い。
ウクライナ戦争以降、ロシアが北朝鮮を戦略的パートナーとして重視し、中国も経済関係を強化したことで、平壌は予想外の外貨流入と物資供給の恩恵を受けている。
北朝鮮経済の動向は国内改革よりもロシア、中国との関係や国際情勢の変化に大きく左右される可能性が高い。















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