
世界的な動画配信サービス(OTT)企業であるネットフリックスが、映画制作会社ワーナー・ブラザースを720億ドル(約11兆1,600億円)で買収するとの報道があり、世界の映画業界に大きな変革をもたらす見通しだ。取引の成否を決める「ボール」は、独占禁止法遵守の審査を行う米国および各国の独占禁止法運用当局の手に渡ったが、最終承認までには「険しい道のり」が予想されている。
現地時間5日に発表された大型買収契約は、現金と株式取引を組み合わせた形式であり、映画・TVスタジオ、HBO、ストリーミングサービスのHBO Maxなどが買収対象となる。買収契約におけるワーナー・ブラザースの企業価値は827億ドル(約12兆8,215億円)と評価された。
100年の歴史を誇るワーナー・ブラザースは、『ワンダーウーマン』、『ハリー・ポッター』、『バットマン』といったオリジナルコンテンツなど、膨大な長編映画シリーズを擁する企業である。「ロイター通信」の報道によると、これらの映画やコンテンツが、全体の視聴量の80パーセントを占める可能性がある。さらに「CNN」は、今回の取引が世界ストリーミング業界1位のネットフリックスと3位のHBO Maxを統合し、市場占有率を高める意味合いがあると指摘した。
ネットフリックスは、取引が破談になったり政府の承認を得られなかった場合、58億ドル(約9,000億円)の違約金を支払うことを約束しており、自信を示している。
しかし、今回の買収劇に対するトランプ政権の見方は好意的ではないという分析が大勢を占めている。専門家らは「CNN」に対し、今回の合併がドナルド・トランプ米大統領がジョー・バイデン前政権時代に整備された独占禁止規則を遵守するかどうかを試すことになると伝えた。新設されるストリーミング会社の市場占有率は、2023年に米国司法省が発表した最新の独占禁止ガイドラインで合併阻止の判断基準として規制当局が設定した30パーセントを超える見込みだ。「CNBC」は前日、匿名のトランプ政権高官の話として「トランプ政権が該当取引に対して極めて懐疑的だ」と報じている。
また、欧州連合(EU)の独占禁止当局も合併に反対する可能性がある。規制当局がネットフリックスの規模拡大を許可しない可能性が高いということである。
さらに、ハリウッドの労働組合側は、ネットフリックスが変えた映画界の構図がさらに強まる可能性を懸念している。ハリウッドの脚本家を代表する組合である全米脚本家組合(WGA)は、ネットフリックスによるワーナー・ブラザース買収について、「雇用が失われ、賃金が下がり、全てのエンターテインメント業界従事者の待遇が悪化する。消費者価格は上昇し、多様性は減少するだろう」と批判を表明した。













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