
人に捨てられてしまう犬の話は時折耳にするが、犬のほうから飼い主のもとを離れるというのは、なかなか想像しがたい。
しかし、今回紹介するエピソードの中の犬は、自ら飼い主のもとを去る道を選んだという。
大切に世話をしてくれる飼い主がいるにもかかわらず、なぜこの犬は自らの意思で家を離れることを選んだのか。そこには、人の心を打つ切ない理由が隠されていた。
中国メディア「Sohu.com」などによると、その犬は自分の死期を悟り、残される飼い主が悲しみに暮れることを案じて、静かに家を後にした老犬だったという。

この物語の主人公は、中国・福建省で暮らす一匹の老犬。人間の年齢に換算すれば、すでにかなりの高齢となる16歳だった。
この犬は、16年もの長い年月を飼い主のそばで、まるで影のように寄り添い続けてきた忠実な相棒だった。
しかし、年を重ねて体力が衰え始めると、いつしか飼い主との距離を取ろうとするような様子を見せるようになった。
飼い主は胸騒ぎを覚え、どうしても不安を拭いきれなかった。そしてついに、老犬は自ら家を離れる決意を固める。
写真に残された光景の中で、飼い主は必死にその名を呼び続けた。だが犬は、ただ少し離れた場所に静かに座り、飼い主をじっと見つめているだけだった。

老犬は、自分を呼ぶ飼い主をしばらくのあいだ切なげな目で見つめ、その姿をまるで心に深く刻み込むかのように見つめ続けた。そしてやがて、静かに背を向け、自ら歩むべき「最後の道」を黙々と進んでいった。
その行動は、おそらく最期の姿を飼い主に見せて悲しませたくなかったのだろうと受け止められている。
去っていく犬の寂しげな後ろ姿を見た飼い主は、ただ悲しみに耐えながら、その姿が遠ざかっていくのを見送るしかなかった。
その後、老犬は飼い主が追いかけてこられないようにと素早く走り去り、16年間寄り添ってきた大切な飼い主のもとを、永遠に離れていったという。
この胸を締めつけるようなエピソードに、多くのネットユーザーが心を打たれ、「いつかは訪れる別れの運命だからこそ、一緒にいる時間を大切にしたい」、「愛するペットと過ごせる時間に、できる限りの愛情を注ぎたい」といった声が相次いで寄せられている。













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