「電気椅子か毒物注射か」…米死刑囚に下された選択

米国・テネシー州で、ある死刑囚が自身の死刑執行方法をめぐり苦悩している。AP通信などの報道によると、死刑囚ハロルド・ウェイン・ニコルズ受刑者(65)は10日(現地時間)、死刑執行の際に「電気椅子」か「毒物注射」のどちらを選ぶかという当局の求めに対し、選択を拒否したという。
ニコルズ受刑者は翌11日に死刑が予定されており、それまでにいずれかの方法を選択しなければならない。もし決定を下さなければ、テネシー州の標準的な執行方法である「毒物注射」により刑が執行されることになる。テネシー州矯正局は「ニコルズ受刑者には今後2週間以内に選択を変更する猶予がある」と説明した。
ニコルズ受刑者は2020年に死刑執行が決定した際には電気椅子を選んでいたが、新型コロナウイルスの感染拡大により執行は延期されていた。テネシー州では通常、毒物注射による執行が行われているが、1999年以前に犯した犯罪の場合、受刑者が電気椅子を選ぶことも認められている。

しかし、両方の方法に問題が指摘されている。電気椅子は「残酷すぎる」とされ、毒物注射は「信頼性に欠ける」との批判がある。実際、2020年にはニコルズ受刑者の弁護団が「毒物は受刑者に激しい苦痛を与える可能性があり、十分に検証されていない」と主張して訴訟を起こしていた。今回の対応について、専門家の間では「ニコルズ側が毒物注射を使わせることで、現在係争中の訴訟で法的争点を残そうとしている可能性がある」との見方も出ている。
米国では、毒物注射による死刑執行に対して違憲性を訴える死刑囚の訴訟がこれまでにも相次いでおり、執行を拒む動きが続いている。
ニコルズ受刑者は1998年に21歳の女子大学生を性的暴行の末に殺害した罪で死刑判決を受けており、この事件以前にも4人の女性に対する性的暴行で有罪判決を受けていた。














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