体感マイナス20度の山で…疲労困憊の恋人を置き去りにして下山した男性
オーストリア女性は死亡…男は過失致死罪で公判へ

オーストリア最高峰の山で登山中、恋人をひとり残して下山し死亡させたとして、男性登山家が過失致死の罪で起訴された。
オーストリアの検察当局は4日(現地時間)、グロースグロックナー山山頂近くで恋人ケルスティン・グルトナーさん(33)を置き去りにして死亡させたとして、トーマス・プランベルガー被告(39)を過失致死容疑で訴追したと明らかにした。ニューヨーク・ポストやデイリー・メールなど複数の海外メディアが6日に報じた。
検察は声明で、被告は低体温症で方向感覚を失った恋人をグロースグロックナー山頂の手前約50メートル地点に残したまま下山し、死亡させたと指摘したうえで、「アルプス登山の経験が豊富なプランベルガー被告は、事実上この登山のガイドとしての責任を負っていた」と起訴理由を説明した。
アルプス山脈を構成する一つの山塊であるホーエ・タウエルン山脈に位置するグロースグロックナー山の標高は3,798メートル。グルトナーさんとプランベルガー被告はことし1月18日午後6時ごろ、山頂を目指して登攀を開始した。午後8時50分ごろ、山頂まで残り約50メートルの地点で、グルトナーさんは疲労困憊で動けなくなったという。

プランベルガー被告は、日付が変わった後に一度警察へ連絡したものの、その後スマートフォンを消音モードにし、警察からの折り返しには応じなかったとされる。被告は午前2時ごろ、最終的にグルトナーさんをその場に残して下山し、助けを求めることを選んだ。午前3時30分ごろには山岳救助隊に連絡したが、その後ふたたび携帯電話を消音にしたと伝えられている。
救助隊は夜通しで捜索を行い、午前10時ごろにグルトナーさんを発見したものの、すでに死亡していた。
検察によれば、プランベルガー被告は救助を求めるために下山する際、寝袋や毛布などを使ってグルトナーさんの体を保護する措置を取らなかったという。当時の気温は氷点下8度前後で、体感気温は氷点下20度近くまで下がっていたとされる。
さらに調べでは、2人は当初の予定より2時間遅れて登山を開始していたほか、装備も不十分だったことが判明した。
これに対しプランベルガー被告側は容疑を否認し、「助けを呼ぶために下山しただけであり、この出来事は悲劇的で不運な事故だ」と主張している。
裁判は来年2月に開廷する予定で、有罪となった場合、最長3年の禁錮刑が科される可能性がある。













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