「良い先輩は良い後輩が作るもの」先輩が教えてくれたリーダーシップの本質とは

ある会社員が前職でのパートリーダーとしての経験をもとに、リーダーシップの課題を語った。A氏は「わずか2、3人のチームを率いることさえ容易ではなかった」と振り返る。

A氏のチームメンバーの一人は、外国語高校と名門大学出身の優秀な人材だったが、締め切りと勤怠の問題で軋轢が生じていた。雑誌社の特性上、午前10時出勤が基本で、締め切り期間中は正午前の出勤も認められていたが、これすら守れなかったという。

もう一人のメンバーは比較的模範的だったものの、締め切りを守れずに問題となった。A氏は「締め切りが遅れるとデザイナーや印刷所のスケジュールに支障をきたし、編集長までもが遅くまで待つ事態になる」と説明した。

こうした苦境の中、A氏は以前の職場で上司だった先輩を訪ね、アドバイスを求めた。「どうすれば先輩のように、後輩に対して寛容で思いやりを持てるのか」という質問に対し、意外な答えが返ってきた。その先輩は「良い先輩は良い後輩が作るものだ。当時の君たちは本当によくやってくれたじゃないか」と語ったという。

現在A氏が勤める会社のある課長も、リーダーシップに悩んでいた。この課長はパートリーダー時代に能力を認められていたが、課長に昇進後、リーダーシップのスタイルが変わったと評価されている。最近、この上司は先輩たちにアドバイスを求め、「良い上司とは部下の昇進を上手く後押しする人物だ」という回答を得たという。会社員にとって最大の成果は昇進であり、最大の報酬は給与だからだという理由だった。

しかしA氏は「昇進は職場生活の重要なイベントだが、普段の生活では良い上司よりも良い先輩を求めるものだ」と語る。かつての先輩の意外なアドバイスを思い返し、A氏は「まず自分が任された仕事を誠実にこなす良い後輩になることから始めたい」と述べた。