暗号資産（仮想通貨）ビットコイン（BTC）の市場において、12億6,000万ドル（約1,793億9,329万円）規模にのぼる大規模アンステーキングが発生し、緊張が高まっている。
暗号資産メディア「ザ・クリプトベージ」によると、分散型ビットコインステーキングプラットフォーム「バビロン（Babylon）」から1万4,929 BTCが引き出されており、この動きはビットコイン価格の変動と重なったことから、市場関係者の注目を集めている。
この取引は仮想通貨分析プラットフォーム「ルックオンチェーン（Lookonchain）」が17日、アーカム・インテリジェンス（Arkham Intelligence）のデータを活用して検知したと報告した。
特筆すべきは、今回の引き出しが単一の取引ではなく、複数のアドレスに分散された一連の戦略的取引として行われたことだ。
中でも最大の単一取引は563 BTC（約4,734万ドル、約67億3,932万4,047円）で、500 BTC規模の取引は4件、合計4,224万ドル（約60億1,328万7,869円）に相当する資金が引き出された。さらに、499.85 BTCの2件（それぞれ4,221万ドル、約60億1,328万7,068円）、299.992 BTCの2件（それぞれ2,534万ドル、約36億740万3,281円）、334 BTCの1件（2,825万ドル、約40億2,167万983円）といった取引が確認されている。
こうした動きについて、単なる個人の売却というよりも、構造化された戦略的なポジション変更と解釈される。
この取引を行ったとされるウォレットは、2024年半ば以降、着実に資産を増やし、12月には総ポートフォリオの評価額が13億ドル（約1,850億6,804万5,236円）を超えていた。しかし、年明け以降は成長が鈍化し、今回の大規模引き出しによって保有残高が減少している状況だ。アーカムのデータによると、現在バビロンプラットフォームには3億8,400万ドル（約546億6,625万3,362円）相当のビットコインが残っており、合計4万5,555 BTCが保管されているという。
価格への反応も即座に現れた。協定世界時（UTC・日本時間より9時間遅れ）で16日午後7時57分32秒に最初の引き出しが発生するまで、ビットコインは日中高値の8万5,164ドル（約1,212万3,950円）を記録していた。その後、当該取引直後に価格は8万3,500ドル（約1,188万7,062円）まで下落し、その後若干反発したものの、依然として高値には届かず、17日午後8時30分時点（日本時間）では8万4,423ドル（約1,201万8,461円）で取引されている。市場がこの大規模な移動に敏感に反応したことを示す動きだといえる。
一方、オンチェーンデータ分析会社「イントゥザブロック（IntoTheBlock）」は、過去1週間でビットコインの大口保有者による流入量が29.05%減少したと発表した。この動きはバビロンで発生したアンステーキングと時期が重なる。ただし、30日ベースでは大量保有者の流入量が465.15%増加しており、2月と3月初めの急激な買い集めが現在の流れに一部影響を与えている可能性があると分析している。
今回のバビロンの大規模アンステーキングは、単なる個人の行動ではなく、市場構造の変化を示唆する動きとして解釈され、今後の市場動向にも少なからぬ影響を及ぼす可能性があると専門家は語っている。
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