明確な業務指示でチーム成果を高める方法
木暮太一さんの新刊『リーダーの言語化 部下に伝わる言葉の技術』が韓国で出版された。本書は「冗長にならず正確に説明する方法」で国内のコミュニケーション分野のロングセラーとなった著者による待望の続編だ。
累計3,000件以上の言語化コンサルティング経験を基に、リーダーがチームメンバーに業務を明確に指示する方法を体系的にまとめている。

現代の職場で多くのリーダーは「自分の業務指示が曖昧なのか?なぜ理解してもらえないのか?」と疑問を抱くことがある。
明確に説明したつもりが、チームメンバーが的外れな成果物を持ってきたり、指示を拒否したりする状況は、リーダーにとってよくある悩みだ。これに対するフィードバックも「もっと説得力を持たせて」「新しい視点はないか」など、曖昧なものが多い。
時代の変化に伴うリーダーシップの進化
日本社会では「相手の意図を読み取って行動する」という、いわゆる「察する文化」が根付いており、明示的な指示なしで業務をこなせる人材が重宝されてきた。しかし著者はこのアプローチの限界を指摘する。
若手リーダーとしてチームメンバーの不振に悩んだ著者は、モチベーション向上や心理的安全性の確保といった一般的な解決策では問題の本質を解決できないことに気づいた。
核心は「曖昧な業務指示」、つまり「リーダーの言葉遣い」にあったのだ。
2023年の日本能率協会による新入社員意識調査で「理想だと思う上司、先輩」1位は「仕事について丁寧な指導をする上司・先輩」だった。これはチームメンバーがリーダーの人柄やチームの雰囲気以上に「明確な業務指示」を重視していることを示している。
著者は現代社会が「正解が一つの時代」から「正解が無数存在する時代」へと変化したと説明する。このような環境では、チームの方向性や日常業務を明確に示し、適切に委任できるリーダーシップが不可欠だ。
誤解を防ぐコミュニケーション
リーダーの指示が明確でも、チームメンバーが異なる解釈をする場合がある。これは各自が持つ「行間の読み方」の違いによるものだ。
著者は誤解が生じそうな部分を「あえて言及して否定する方法」を提案する。これによりチームメンバーの「善意」が誤った行動につながることを防げる。
著者は自身の「仕事に対する世界観」を「すべての職業人が自分の仕事の価値と自身のビジネス上の存在意義を明確に認識できる社会」と定義し、これを実現する手段として「言語化」を強調する。
本書がリーダーとチームメンバー全員に自らの価値を言語で認識させるきっかけとなることを期待したい。
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