
AI検索で注目を集める米新興企業「Perplexity」が、AIベースのウェブブラウザ「Comet(コメット)」をリリースした。内蔵されたAIエージェントが、メールやスケジュールの要約、会議予約、レストラン探しまで、あらゆる日常業務を自動でサポートする。Chromeに代わる「次の標準ブラウザ」として浮上する可能性も指摘されている。
Perplexityは、今年2月にCometの開発計画を明かし、ユーザーの事前登録を開始していた。そして現地時間7月9日、ついに正式ローンチ。利用対象は、月額200ドル(約2万9,000円)の有料メンバーシップ「Max」加入者や、一部の予約者に限られる。
Cometを起動すると、PerplexityのAI検索エンジンがデフォルトで立ち上がり、AIエージェント「Comet Assistant」がユーザー操作をアシストする。ウェブページの要約、予定整理、メール作成などを代行するほか、YouTubeやGoogleドキュメントの内容に関する質問にも即答する。旅行の計画では、入力した地域の評判の高いレストランを自動で推薦する機能まで搭載されている。
Perplexity側は「Cometはすべての状況で最善の判断を支える『第二の脳』」と表現し、汎用AIアシスタントとしての性能に自信を示す。
一方、ライバルとなるOpenAIも独自ブラウザの開発を進めているとされる。『TechCrunch』などによれば、ChatGPTのようにユーザーとの対話形式で情報収集・処理を行う構想だという。
この動きは業界内ではすでに想定されていた。OpenAIは昨年、Google Chromeの開発責任者を迎え入れた経緯があり、さらに米司法省がGoogleの検索独占を問題視しChrome事業の売却を求める中、OpenAIのプロダクト責任者ニック・ターレイ氏が買収への関心を示したとの報道もある。
背景には、AI企業がインターネットユーザーを自社のAIエコシステムへ引き込もうとする戦略がある。ブラウザは検索や広告の「入り口」であり、これまでGoogleやAppleなどが独占してきた収益構造に風穴を開ける狙いも透けて見える。
ウェブ解析会社StatCounterによれば、今年6月時点でChromeの世界シェアは68.4%に達している。もしCometやOpenAIのブラウザが市場を浸食すれば、広告を収益の柱とするGoogleにとっては大きな痛手となりかねない。
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