
米司法省が自殺した富豪で性犯罪者であるジェフリー・エプスタインに関する資料調査を終え、「新たな発見はなかった」と発表したことを受け、米国内では大きな反発が広がっている。
特に「MAGA(米国を再び偉大に)」と呼ばれるトランプ大統領の岩盤支持層の間で強い反発の声が上がっている。
しかし、議論が続いているにもかかわらず、エプスタイン事件に関する新たな事実はほとんど公表されていない。
こうした中、ニューヨーク・タイムズ(NYT)は17日(現地時間)、3年前から事件を追跡してきた民主党のロン・ワイデン上院議員が、エプスタインの金融取引記録の精査が事件の核心だと強調したと報じた。
ワイデン議員は、2019年にエプスタインが逮捕された後、4つの大手銀行が総額15億ドル(約2,230億円)を超える資金移動について、財務省傘下機関に報告書を提出していたと明かした。
また、トランプ政権がエプスタインの自宅から押収した情報や、銀行から収集したデータの公開に消極的な姿勢を見せていると指摘した。
ワイデン氏は「この事件は当初から金の流れを追うべきものだ。エプスタインは悪質な性搾取のために多額の資金を費やしており、その資金はどこかから調達されたはずだ」と述べている。
米国では、個人や外国、あるいは匿名の法人に対する大規模送金について、銀行が「不審行為報告書(SAR)」を財務省に提出する義務がある。SAR報告書は、マンハッタン、フロリダ、米領ヴァージン諸島におけるエプスタインの性搾取ネットワークを支えた巨額資金の流れを示す最も包括的な文書とされる。
これまでに明らかになっている金融取引の詳細は、民事訴訟や報道を通じて判明した一部にとどまっている。
ワイデン議員の補佐官らは、銀行が提出したSAR報告書を閲覧したが、報告書の内容は厳重に保護されており、銀行側は提出の有無すら認められず、閲覧者も詳細を公表することが禁じられている。
こうした状況を踏まえ、ワイデン氏は司法省が先週エプスタイン事件の捜査終結を発表する以前から、議会が報告書を審査できるよう提出を求めていた。
ワイデン議員のチームが閲覧したのは、エプスタインが勾留中に自殺した後、数カ月にわたって銀行から提出された報告書である。
その中で、JPモルガン銀行が提出した記録は総額11億ドル(約1,635億円)にのぼる資金移動を含み、ベラルーシ、ロシア、トルクメニスタン出身の女性への送金も確認された。エプスタイン事件の被害者には、東欧出身の若い女性が多数含まれていたとされる。
また、ドイツ銀行は4億ドル(約595億円)、ニューヨーク・メロン銀行は3億7,800万ドル(約562億円)の資金移動を報告した。バンク・オブ・アメリカは、投資家レオン・ブラック氏がエプスタインに支払った金銭について報告していた。
JPモルガンは2023年、エプスタイン事件の被害者が起こした訴訟で、2億9,000万ドル(約431億円)の和解金を支払い、ドイツ銀行も7,500万ドル(約111億円)の和解に応じている。
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