「50%関税爆弾」直撃のインド…主要アパレル企業が生産停止
米国、インドへの追加関税発効

対米輸出、最大45%減の見通し
ダイヤモンド・革製品など主力産業に打撃
グローバルサプライチェーン再編は不可避
モディ首相、減税策を発表
中国訪問で市場拡大を協議
米政府へのロビー活動継続
米国はロシア産原油輸入を理由にインドに25%の追加関税を課し、措置は27日(米東部時間)午前0時1分に発効した。これによりインドの関税率は合計50%となった。
この措置により、インドの主力産業である衣料、ダイヤモンド、革製品などで国際的なサプライチェーンの再編が不可避となっている。
インド輸出組織連盟(FIEO)は26日、声明で「米国の高関税で価格競争力が低下し、ティルプールやノイダ、スーラトの繊維・アパレルメーカーが生産を停止した」と明らかにした。
FIEOによれば、最大3兆9,800億ルピー(約6兆6,901億円)に相当する対米輸出品のうち30~35%でコスト損失が発生しており、革製品、エビ、手工芸品などの労働集約型産業が危機に直面している。
ドナルド・トランプ米大統領は6日、ウクライナ侵攻を理由に制裁対象となったロシア産原油をインドが輸入したとして、既存の25%に加え25%の相互関税を課す行政命令に署名した。鉄鋼、アルミニウム、銅、自動車、医薬品、一部電子製品は対象から除外されたが、将来的に課税対象となる可能性がある。
専門家によれば、関税の影響で2025年~2026年のインドの対米商品輸出額は前年比で最大40%~45%減少すると予測されている。米国はインドの年間輸出額の約18%を占める最大の輸出先で、インドは2023年~2024会計年度に783億ドル(約11兆5,278億円)相当の商品を輸出したと推定されている。高関税により、繊維・アパレル、ダイヤモンド、エビ、革製品、家具、医薬品などの輸出に大きな打撃が及ぶと予想される。
低熟練・低賃金労働力を活用し大量生産に依存するタミル・ナードゥ州とグジャラート州の工業団地では「非常事態」が宣言された。米国の高関税が長期化すれば、中国、ベトナム、カンボジア、フィリピン、バングラデシュなど競合国に市場シェアを奪われる可能性があると指摘されている。インドメディアは、受注減少を受け各企業が緊縮経営に着手したと報じた。
ダイヤモンド産業も大きな打撃を受けている。世界のダイヤモンドの80%以上を加工するスーラトでは、ここ数週間で受注が急減している。
米国の関税措置に対抗し、ナレンドラ・モディ首相は10月から約2兆ルピー(約3兆3,614億円)規模の減税政策を実施すると発表した。自動車や電子製品に課されていた28%の税率は撤廃され、従来12%の税率が適用されていた品目は5%に引き下げられる。
同時に、対中国輸出市場の拡大も進められている。モディ首相は31日に中国・天津で開かれる上海協力機構(SCO)首脳会議に出席する意向を示した。
インドは米政府へのロビー活動も展開している。『ブルームバーグ通信』によると、在米インド大使館は、ホワイトハウスのスージー・ワイルズ首席補佐官が所属するロビー企業マーキュリーと、米政府との関係構築やメディア対応を目的とする契約を結んだと報じられている。
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