「麻薬運搬船を壊滅し11人を射殺」トランプ氏、ベネズエラ大統領を痛烈批判…両国の緊張は最高潮に

トランプ大統領「ベネズエラの麻薬運搬船を直接攻撃、11人を殺害」
カリブ海で作戦実施「船には大量の麻薬」
「マドゥロ大統領が統制するテロ組織」
ベネズエラ「米国は政権転覆を企図、防衛態勢に入る」

米軍がベネズエラから出発した麻薬運搬船を南カリブ海で精密攻撃し、組織員11人を殺害した。最近、米国の戦艦や攻撃型駆逐艦がカリブ海一帯に集結しており、ベネズエラと米国との間で軍事的緊張が急速に高まっている。

フィナンシャル・タイムズ（FT）などによれば、トランプ大統領は2日（現地時間）、ホワイトハウス執務室で記者団に対し「数分前、麻薬を運搬していた船を文字通り撃沈した。船には麻薬が山積みされていた。今しがた起こったことだ。すぐに分かるだろう」と語った。

大統領は続けて「米国には長年、ベネズエラから膨大な量の麻薬が流入していた。我々はそれを排除した」と述べ、作戦の功績をダン・ケイン統合参謀本部議長に帰した。ケイン氏は過去にイラン核施設攻撃に関与した人物で、今回の作戦が米軍による「直接行動」であったことを示唆している。

その後、トランプ大統領は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」を通じ、「攻撃は麻薬テロ組織と確認された『トレン・デ・アラグア』（Tren de Aragua、TdA）を標的とした」と発表し、「作戦中に11人のテロリストが死亡した」と明らかにした。さらに「TdAはマドゥロ大統領の統制下にある外国テロ組織で、西半球全域で大量殺人、麻薬密売、人身売買、暴力行為、テロを繰り返している」と強く非難した。米国は先月、マドゥロ大統領を同組織の首謀者と名指しし、懸賞金を5000万ドル（約73億5,000万円）に引き上げていた。

トランプ大統領の発言後、マルコ・ルビオ米国務長官もX（旧ツイッター）で「今日、米軍はカリブ海でベネズエラ発の麻薬テロ組織が運航する船舶に致命的な空爆を実施した」と投稿した。

ルビオ長官は現在、メキシコやエクアドルを経由してラテンアメリカ歴訪中であり、米国務省によると今回の歴訪では麻薬カルテルの解体、フェンタニル不法取引の阻止、不法移民対策、貿易赤字削減、経済発展促進、さらには悪意ある海外勢力への迅速かつ断固とした対応について協議する予定だという。

今回の軍事行動は、トランプ大統領が「ベネズエラから大量の麻薬が流入している」として追加制裁を予告した後に実施された。米国が先月末、駆逐艦や揚陸艦、原子力潜水艦など海軍戦力7隻をカリブ海に追加派遣して以来、初の軍事作戦となる。

ベネズエラ側は「米国による軍艦追加派遣と自国船舶への攻撃は国際的脅威であり、大陸にとって最大の危機だ」と非難し、「防衛のための軍事準備態勢に入った」と表明した。マドゥロ大統領はさらに、コロンビア国境に45万人の民兵を配置したうえで「米国は我が国の政権転覆を企図している」と主張した。