
英国を国賓訪問中のドナルド・トランプ米大統領を乗せた専用機が米国上空を飛行中、格安航空会社「スピリット航空」の旅客機とわずか約13kmの距離まで接近していたことが、米紙『ニューヨーク・タイムズ(NYT)』の17日(現地時間)報道で明らかになった。
航空交信サイト「LiveATC.net」の記録によると、米東部時間16日午前10時20分から約3分間にわたり、管制官はスピリット機に対し繰り返し「スピリット1300、右に20度旋回せよ」と指示を出していた。
管制官は「注意せよ、スピリット1300、右に20度旋回せよ、スピリット1300、今すぐ右に20度旋回せよ、スピリットウィングス1300、直ちに右に旋回せよ」と交信した。
管制官はさらに、スピリット機の操縦士に向かって「誰だか分かるだろう。よく見ろ。白と青だ」と伝えた。これは大統領専用機の塗装色を示すものである。管制官は注意を促すため、次第にいら立ちをあらわにし、「毎回二度も言わせるな、iPadを見るのをやめろ」とも警告していた。
操縦士が実際に飛行中にiPadを使用していたかは不明だ。操縦士は航空チャート、チェックリスト、運航マニュアルなどの航空データを表示するため、携帯電子機器を使用することが認められている。
航空追跡サイト「Flightradar24」によると、スピリット機が回避飛行を開始した時点で大統領専用機から約18km離れており、最接近時の距離は約13kmだった。これについて、連邦航空局(FAA)の報道官は「航空機間の必要な安全距離は維持されていた」と説明した。
Flightradar24の広報責任者イアン・ペトチェニック氏は、操縦士が無線通信の干渉などの理由で管制官の指示に即座に応答できなかった可能性があると指摘した。
スピリット航空NK1300便は16日午前、フロリダ州のフォート・ローダーデールからボストンへ向かう途中だった。一方、トランプ大統領を乗せた専用機はメリーランド州の基地を出発し、英国に向かっていた。
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