中国の若い世代の間で「ソウル病」という言葉が急速に広まっている。ソウルを訪れた後、日常に戻ると強い虚しさを覚え、韓国文化への憧れが一層深まる現象を指す新語だ。
当初は旅行後の一時的な寂しさを表す程度だったが、今では「数日間のソウル滞在が人生で最も忘れ難い時間になった」という体験談が相次ぎ、日常生活への適応が困難になるほどの空虚感を意味するようになった。
中国版TikTok「抖音(Douyin)」では関連動画が続々と投稿されている。「ソウル病がさらに悪化した」というタイトルの動画は97万件を超える「いいね」を獲得。コメント欄には漢江や南山タワー、ソウルの夜景を背景にした思い出が並び、現地で道に迷った際に韓国人から助けられた温かな記憶を語る声も多い。「コンサート以上に、数日間のソウル生活の方が忘れ難い」との告白も少なくない。

この流れはネット上の一時的なブームにとどまらず、実際の旅行需要に直結している。韓国政府が9月29日から中国団体観光客のビザなし入国を認めたことを受け、国慶節の大型連休(10月1〜7日)を前に韓国旅行の予約が急増。浙江省の旅行会社は予約人数が前年比50%増加したと明かし、別の会社も相談件数が20%以上増え、一部のツアーはすでに完売したという。


中国メディアは韓国を「ショッピング天国」と評し、公共交通の利便性や価格競争力を強調する。そこに韓流ドラマやK-POPの人気が加わることで、韓国旅行への関心が持続していると分析されている。単なる公演鑑賞を超え、ソウルで過ごす日々そのものが文化的欲求を刺激する契機となっているのだ。
「ソウル病」という新語の浸透は、韓国文化が中国の若者の感情や日常意識にまで深く入り込んでいることを象徴している。旅行後も思い出を反芻し、再び訪韓を望む気持ちが、一つの文化現象として定着しつつある。
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