
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が自国の有力政治家であるオデーサのヘンナジー・トルハノウ市長の市民権を剥奪したと、ロイター通信などが14日(現地時間)に報じた。ゼレンスキー大統領は、トルハノウ市長がロシア国籍を保有しているとして、この措置を講じた。
ウクライナの法律では、ロシア国籍を持つ者はウクライナ国籍を有することができないと明記されている。ゼレンスキー大統領の今回の措置は事実上の解任だが、トルハノフ市長は市議会が解任を決議するまで現職を続けられる。
トルハノフ市長は自身がロシア国籍保有者であることを否定し、裁判所に提訴する意向を示した。彼は過去に親ロシア政党に所属しており、ロシア国籍保有の噂が絶えなかった。彼は2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻以降、ゼレンスキー政権を強く批判したことはなかった。
オデーサは首都キーウ、ハルキウに次ぐウクライナ第3位の都市で、黒海に面した貿易港を有する経済の中心地である。今回の措置は、ゼレンスキー大統領と国内大都市の市長らとの対立が深まる中で実施された。
ロシアとの戦争を継続するゼレンスキー大統領は、戦時体制の運用に必要だとし、権力の中央集権化を進めている。地方指導者らが公共サービスを適切に管理できず、ロシアの空襲から都市を守り切れないことが介入の主な理由とされた。
大都市市長らは、ゼレンスキー大統領が戦争を利用して政敵の牽制を行い、終戦後に行われる大統領選に備えていると主張している。キーウのビタリー・クリチコ市長は今年初め、ゼレンスキー大統領が戒厳権を悪用し市議会の機能を麻痺させたと批判した。
同時期、ウクライナ国家安全保障当局は、ゼレンスキー大統領が前回の大統領選で対決したペトロ・ポロシェンコ前大統領の銀行口座を凍結した。
ゼレンスキー大統領は2019年5月に就任し、2024年5月に5年の任期が終了するはずであったが、戦争のため大統領選が延期され、引き続き政権を維持している。
野党のオレクシー・ゴンチャレンコ議員は「トルハノフ市長の市民権剥奪とオデーサへの軍事行政機関設置は、ウクライナ全土の市長に向けた公然たる警告である」と述べ、「すべての市長が調査対象になっており、時が来れば一人ずつ対処していくという意味だ」と主張した。
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