
中国の今年3四半期の経済成長率が5%を下回り、大幅に減速した。不動産市場の低迷と内需の不振が続く中、米中貿易戦争に伴う不確実性の拡大や自国産業内の構造調整圧力の上昇などが影響したとみられる。これにより、年初に掲げた年間目標成長率である「5%前後」の達成にも赤信号が点った。
20日、中国国家統計局は今年3四半期(7〜9月)の国内総生産(GDP)成長率が前年同期比4.8%増加したと発表した。市場予想(4.7%)を上回ったものの、今年1四半期(5.4%)と2四半期(5.2%)に比べ大きく落ち込んだ。中国の成長率が5%を下回ったのは、昨年3四半期(4.6%)以来1年ぶりである。
国家統計局は「外部環境の不確実性が高まり、国内の構造調整圧力が増すなど、様々な要因が複合的に作用した」と説明した。特に、中国を含む主要国に対して関税を課している米トランプ政権の政策が、成長減速の背景として挙げられた。国家統計局は「今年3四半期に入り、一部の国が関税を乱用し、国際貿易秩序を揺るがしている」と述べ、「保護主義や一方主義が蔓延し、国際貿易の不安定性が高まった」と指摘した。特定の国名は挙げられていないが、事実上米国を念頭に置いている。
これに加え、中国指導部が「内巻(ネイジュエン)排除」に対する強い意志を示したことで、電気自動車や太陽光など主要産業で進行中の構造調整も影響を与えたと評価される。それにもかかわらず、国家統計局は「中国経済が安定の中で進展を見せる傾向は変わっていない」とし、4四半期の成長率に対する強い自信を示した。
この日発表された中国の今年9月の工業生産と小売売上高は、前年同月比でそれぞれ6.5%、3.0%増加し、いずれも市場予想を上回った。しかし、その傾向は交錯した。工業生産は昨年6月以来最高の増加率を記録したが、小売売上高は昨年11月以来最も低調であった。また、今年1〜9月の固定資産投資は前年同期比0.5%減少し、2020年1〜8月以来初めてマイナスになった。
一方、中国経済の柱の一つである輸出は、米中貿易戦争にもかかわらず好調を維持している。先月の中国の輸出は前年同月比8.3%増加し、今年3四半期の輸出額は9,700億ドル(約146兆9,304億円)で、歴代2番目に多い。対米輸出が減少した代わりに、ASEAN(東南アジア諸国連合)やアフリカなどに活路を見出したためである。それでも国内消費と投資の不振が続き、中国の年間GDP成長率が目標値である5%前後に達しないとの見方が出ている。
これに先立ち、世界銀行(WB)・国際通貨基金(IMF)・経済協力開発機構(OECD)など国際金融機関は、今年の中国GDP成長率を4.8〜4.9%と予測した。これに関連してブルームバーグは「中国経済は輸出好調にもかかわらず、生産・消費・投資の弱さにより、今年3四半期に直近1年で最も成長が鈍化した」とし、「IMFは債務とデフレのサイクルの中で来年の中国経済がさらに減速すると警告している」と伝えた。
これを受け、景気刺激のために今年4四半期、中国当局が事実上の基準金利の役割を果たす最優遇貸出金利(LPR)と預金準備率を追加で引き下げる可能性があるとの見通しが出ている。この日、中国中央銀行である中国人民銀行は、適切な時期ではないとしてLPRを据え置いたが、内需・消費の低迷が続けば流動性を拡大せざるを得ないとの分析である。
一方、中国共産党はこの日、北京で第20期中央委員会第4回全体会議(4中全会)を開いた。4日間にわたって行われる今回の会議では、中国の今後5年間の経済政策の方向性を示す第15次五か年計画(2026〜2030年)が議論される予定であり、注目を集めている。
第15次五か年計画では、先端技術への投資拡大に重点が置かれるとみられる。UBSの首席エコノミストであるNing Zhang氏(張寧)は「中国に対する米国の先端半導体輸出規制強化と高率関税の賦課に対応して、中国は技術自立戦略を加速している」とし、「先端技術分野への投資をさらに増やすだろう」と予測した。
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