睡眠姿勢から健康状態についてある程度推測できる。
就寝時に無意識のうちに両腕を頭上に挙げる人がいる。まるで万歳をするかのように腕を頭上に広げて眠る姿は少しおかしな格好に思えるかもしれないが、多くの人に見られる睡眠習慣の一つだ。この姿勢は単なる癖ではなく、体の状態や心理的な要因と関連している可能性がある。
神経の安定とリンパの流れに影響を与える可能性
腕を上げて眠る人は、脳が緊張を解き、神経系をリラックスさせている状態かもしれない。腕を上げる動作は胸郭を開き、呼吸を楽にし、自然に緊張を和らげる。特に日中のストレスが多かったり、緊張が続いていた人によく見られる姿勢だ。そして、腕を上げる姿勢は脇のリンパの流れを刺激し、循環を促進するという見方もある。

肩や首の痛みを避けようとする無意識の選択
特定の姿勢により肩や首に痛みがある場合、その部位への圧迫を避けるために腕を上げることがある。肩関節に微細な炎症や不快感がある場合、まっすぐ腕を置く姿勢がかえって痛みを引き起こすことがあり、無意識に「楽な位置」を探して腕を上げることになる。この時、腕や手のしびれや、朝の肩のこわばりを伴うことがある。
肺の健康、呼吸習慣とも関連
腕を上げて眠ると胸郭が広がり、肺が楽に膨らむ。普段から胸式呼吸が不足している人や肺活量が低い人ほど、この姿勢を好む傾向がある。これはある意味、代償作用で、より多くの酸素を取り込もうとする無意識の選択かもしれない。特に睡眠中に軽いいびきや睡眠時無呼吸の症状がある人もこの姿勢をとることがある。
心理的な安定感を求める姿勢の可能性
心理的に安定している時、体は無意識に「開いた姿勢」をとる。両腕を広げたり上げたりする姿勢は、外部刺激に対する防御というよりも、リラックスと受容の信号として解釈されることがある。反対に不安や警戒心が強い人は、腕を体に近づける傾向がある。したがって、腕を上げて眠る習慣は、普段から自信があるか、ストレスを睡眠でうまく解消できる人に多い可能性がある。
腕のしびれ、肩の痛みを引き起こす恐れも
この姿勢は肩や腕の血流を妨げる可能性があるため、長時間続けると腕のしびれや痛みが生じることがある。特に痩せ型の人や血行の悪い人は、朝に腕がしびれたり感覚が鈍くなったりする経験をすることがある。そして、肩を上げた状態が長時間続くと、ローテーターカフに負担をかける可能性があるため注意が必要だ。頻繁に腕がしびれたり肩にこわばりを感じる場合は、睡眠姿勢を見直す必要がある。
正しい睡眠姿勢への調整方法
腕を上げる睡眠姿勢が特に健康に悪いわけではないが、楽な姿勢ではないと感じる場合は徐々に姿勢を調整するのが良い。両腕を体の横に軽く置くか、胸の上に置くなどで姿勢を変え、無理に腕を固定したり押さえつけたりしないようにする。適切な高さの枕や肩を包む薄い毛布を利用するのも効果的だ。リラックスと快適な環境が、良質な睡眠には重要である。
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