
欧州で、網膜の下に電子チップを埋め込み、失明患者の視力を回復させる臨床試験が成功した。
20日(現地時間)、英紙『ザ・テレグラフ』によると、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、オランダの5カ国で、失明した患者38人が米バイオテック企業サイエンスコーポレーションが開発した「PRIMA」インプラントの臨床試験に参加した。
患者らはいずれも、高齢者に多い視覚疾患「地図状萎縮(GA)」を患っていた。医療チームは、患者の網膜の下に直径約2ミリ、髪の毛ほどの細さの超小型光電マイクロチップを埋め込んだ。このチップは外部からの光信号を受け取り、それを脳に伝える「電子の目」の役割を果たすという。
患者たちは、赤外線カメラを内蔵した特殊な眼鏡も着用した。この眼鏡が周囲の映像を捉えると、それが赤外線信号に変換されてチップに送られ、さらに携帯用プロセッサーが処理して脳へ伝達する仕組みとなっている。つまり、脳が新たな視覚パターンを学習するのを助ける装置だ。
数カ月にわたる訓練の結果、参加者32人のうち27人が中心視力で文字を判読できたという。
ロンドンのムーアフィールズ眼科病院のマヒ・ムキット博士は「読むことも顔を識別することもできなかった患者たちが、暗闇から光を取り戻した」と述べ、「人工視力技術は一世代を超えるほどの進歩を遂げた」と強調した。さらに、「失明患者に『意味のある中心視力』を取り戻した初の技術であり、人類の視覚リハビリにおける大きな転換点になるとみられる」と付け加えた。
臨床試験に参加したシェイラ・アーバインさん(70)は、「本を愛して生きてきたが、視力を失ってからは世界が閉ざされたように感じた」と語り、「ある日突然、文字の輪郭が見え、単語を読めたときは胸が張り裂けそうだった」と喜びを語った。ただし、「特殊な眼鏡を装着し、頭を固定した状態でなければならず、屋外では使用が難しい」とも付け加えた。
現在、「PRIMA」インプラントはまだ公式承認を受けておらず、臨床試験以外では使用できない。商用化の時期や費用も未定だ。ムキット博士は、「数年以内に、国民保健サービス(NHS)を通じて患者がこの治療を受けられるようになることを期待している」と述べた。
一方、専門家らは、先天的な視覚障害者の場合、視神経の機能がないため、この技術で支援を受けるのは難しいと指摘している。英『BBC』は、「技術自体は光を脳に伝えることができるが、信号を解析する神経経路がなければ限界がある」と報じた。














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