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2025年06月07日土曜日
ホームモビリティーフォトレポート「ラグジュアリーSUV?セダン?いや、その中間」…全長5300mmの巨大ビュイックが放つ挑戦状

「ラグジュアリーSUV?セダン?いや、その中間」…全長5300mmの巨大ビュイックが放つ挑戦状

中国で高い人気を誇るビュイック

前回の上海モーターショーで

新たなコンセプトカーをお披露目

自動車に詳しい人なら、「ビュイック(Buick)」というブランドを一度は耳にしたことがあるだろう。GMのプレミアムブランドの一つで、日本では過去に「アルフェオン」の名で販売された「ラクロス」がビュイックを代表するモデルだった。かつては米国はもとより世界市場でもかなりの影響力を持っていたが、近年は販売の大半を中国市場に依存している。

こうした中、ビュイックは最近開催された上海モーターショーで新しいコンセプトカー「エレクトラ GS コンセプト」を公開した。電動化への移行を控えたビュイックの将来的なデザイン方向性を示すモデルで、大型クロスオーバーの形状と空力性能を重視したデザインが融合した姿が特徴だ。量産の可能性は低いものの、今後発売される新型車の全体的な方向性を占う上で大きな示唆に富んでいる。

エレクトラ GS コンセプト

詳細デザインを見てみよう

エレクトラ GS コンセプトは古代神話の生物ケンタウロスからインスピレーションを得てデザインされた。電気自動車特有の滑らかな外観と長いルーフラインは空気抵抗を抑えながら、未来感のあるデザインに仕上げている。フロントは洗練されたシンプルさを感じさせ、リアはスポーティなディフューザーとテールランプで強い存在感を放っている。

インテリアはラップアラウンドスタイルを採用し、運転席と助手席のスペースが自然に繋がっている。デジタルメーターパネルとセンターディスプレイは助手席側にわずかに傾斜した独特な構成となっている。ステアリングホイールはテスラ・モデルSやXで見られるヨーク(Yoke)タイプを採用し、電気自動車と高性能コンセプトを同時に表現している。

Fセグメント級の大型モデル

クロスオーバーファストバックの形状

エレクトラ GSのもう一つの特徴は車体構成だ。通常、Fセグメント級の大型車は伝統的なセダンか本格的なSUVの形態を取るが、この車両はクーペ風のルーフラインを持つクロスオーバーファストバックとなっている。つまり、高級セダンとSUVの境界に位置する新たな形態を試みたわけだ。車体サイズは全長5,300mm、ホイールベース3,200mmに達し、大型SUVをも上回る長大なシルエットを誇る。

さらに23インチの大径ホイールを装着し、コンセプトカーとしてのプロポーションの完成度を高めている。ただし、パワートレインに関する情報はまだ公開されていない。もちろん、このコンセプトカーが実際に量産される可能性は低い。Fセグメント級でこのようなクロスオーバー形状は市場での需要が不透明であり、一般的にはセダンかSUVに明確に分かれる傾向がある。ブランド側からしても、このような中間的な性格のモデルは大量生産にリスクが伴う。

今後のビュイック新型車に

採用されるデザイン要素

それでも、このコンセプトカーが発するメッセージは明確だ。ビュイックは現在の伝統的なイメージから脱却し、電動化時代に相応しい未来志向のブランドへと生まれ変わろうとしている。北米市場での低迷を打破し、中国市場に続いてグローバル市場での再躍進を目指すビュイックにとって、このコンセプトは重要な転換点となる可能性がある。デザイン面では、すでにビュイックの最新モデルにエレクトラ GSと類似したディテールが一部反映されている。グリルの形状やランプの構成、流線型のボディラインなどにコンセプトカーの影響が徐々に表れ始めている。今後登場する電気自動車ラインナップには、このデザイン言語がより明確に適用される可能性が高い。

結局、エレクトラ GSは単なるショーカーではなく、ブランドの未来を示すロードマップとしての役割を担っている。過去のビュイックが重厚な高級車のイメージだったとすれば、これからのビュイックはより若々しく感性的なブランドへと進化しようとする試みが本格化している。コンセプトカー自体の市販可能性は低いが、この車両を通じて明らかになったビュイックの変革への意志は確かだ。保守的なブランドという評価を受けてきただけに、今回のコンセプトはビュイックにとって象徴的な意味を持つ。今後どのような姿へと進化を遂げるのか、そしてこのデザイン哲学が実際の量産車にどう反映されるのか、注目に値する。

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