
エヌビディアCEOのジェンソン・ファン氏は4月30日(現地時間)、中国がAI分野で「決して後れを取っていない」と警告した。
ファン氏の警告が出たこの日、エヌビディアには異例の「売り」推奨が出された。
ドナルド・トランプ米政権の半導体輸出規制で中国のAI成長を抑制するのは的外れだという主張だ。
ファン氏は中国の華為技術(ファーウェイ)を「世界で最も脅威的な技術企業の一つ」とも評した。
CNBCなど海外メディアは、ファンがこの日ワシントンDCで開かれた技術カンファレンスで記者団にこう語ったと報じた。
彼は中国が現在おそらく米国を「すぐ後ろから追いかけている」としながらも、その差は僅かだと述べた。
ファン氏は「我々(米国と中国)は(その差が)非常に近い」とし、「この(AI)競争は長期的で終わりのないものだということを覚えておいてほしい」と警告した。
エヌビディアはAI半導体市場の80%以上を占める絶対的な強者だ。
しかし、この強みがかえって足かせとなっている。
中国のAI発展を牽制しようと、ジョー・バイデン前政権がAI先端半導体の輸出規制に乗り出し、トランプ政権は最近、中国向けに開発されたエヌビディアのH20半導体輸出も阻止した。中国のAIスタートアップ、ディープシークが米AIモデルに匹敵するAIを開発した衝撃が影響した。
エヌビディアはH20輸出禁止により55億ドル(約7,990億円)のコストが発生すると予測している。
米国が半導体輸出を握る中、中国は自国の半導体開発に注力している。
米国のブラックリストに既に掲載されているファーウェイは、最近独自のAI半導体を開発したとの報道があった。
その影響でエヌビディアの株価が急落する場面もあった。
ファン氏は「彼ら(ファーウェイ)はコンピューティングとネットワーク技術で信じられないほど優れている」とし、「これらすべての能力がAI開発の核心だ」と述べた。さらに「彼らは過去数年で驚異的な進歩を遂げた」と付け加えた。
エヌビディアは米政策当局が対中半導体輸出規制ではなく、自国企業の競争力強化に注力すべきだと主張しており、半導体輸出規制はむしろ米企業の競争力を脅かすと指摘している。
ファン氏はこの日、米政府が技術開発のスピードを加速するAI政策に集中すべきだと改めて訴えた。
彼は「この産業は我々が引き続き競争し続けなければならない分野だ」と強調した。
トランプ大統領はこの日、ファン氏を「私の友人ジェンソン」と呼び、最近エヌビディアが今後5年間で米国に5,000億ドル(約72兆6,700億円)規模のAIインフラを構築すると発表したことを称賛した。
一方、シーポート・リサーチ・パートナーズはこの日、エヌビディアを分析対象に加え、初の推奨意見として「売り」を提示した。目標株価は100ドル(約1万4,533円)だった。
シーポートのアナリスト、ジェイ・ゴールドバーグ氏は、エヌビディアが最近数年間享受してきた成長率に戻ることがますます困難になっていると指摘した。
ゴールドバーグ氏は、エヌビディアの主要顧客である大規模クラウドサービス事業者、いわゆるハイパースケーラーが自社半導体の開発を進めていることも、エヌビディアの見通しにとってマイナス要因だと説明した。アマゾン、アルファベット、マイクロソフト(MS)、メタ・プラットフォームズなど、エヌビディアのAI半導体でデータセンターを構築していた企業が、徐々に自社開発の半導体へ移行する傾向が見られる。
しかし、シーポートのこうした否定的な見通しは異例だ。
ファクトセットによると、ウォール街のエヌビディア担当アナリストの約87%がエヌビディア株の「買い」を推奨しているという。平均目標株価は164.93ドル(約2万3,969円)で、現在の株価より50%以上高い。