
ウクライナ軍は4日(現地時間)、「海上ドローン」である無人水上艇(USV)から発射したミサイルでロシアの主力戦闘機スホーイ(Su)-30を撃墜したと発表し、関連映像を公開した。事実であれば、実戦でドローンが有人戦闘機を撃墜した初の事例となる。ウクライナ戦でコスト効率の高いドローンがヘリや巡洋艦など高価な兵器を破壊する事例が増加している。米軍も最近、有人兵器を削減し1,000機以上のドローン導入に着手した。

ウクライナ軍は2日、自国で開発したUSV「マグラ-V7」でロシアの黒海沿岸の港湾都市ノヴォロシースク付近を飛行していたSu-30戦闘機2機を撃墜したと発表した。マグラ-V7がSu-30戦闘機2機に向けミサイルを発射し、撃墜に成功したという。ウクライナ国防省情報総局(HUR)は、撃墜されたロシア戦闘機の1機の搭乗員は民間船に救助されたが、もう1機の搭乗員は死亡したと伝えた。
同日、情報総局が公開した映像には、ドローンが飛行中の標的を捕捉する場面と、その後爆発した機体が炎に包まれて海中に墜落する様子が映っていた。情報総局は声明で「海上ドローンが戦闘機を撃墜した世界初の事例」とし、「戦闘機が空中で炎上した後、海に墜落した」と説明した。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領も同日の映像演説で「ウクライナの能力を証明した」とドローンの攻撃を称賛した。
ロシアは今回の攻撃に特段の反応を示していない。しかし、親ロシア系の軍事専門家らがSNSを通じて間接的に確認している。ロシアの軍事専門家ウラジスラフ・シュリギン氏はテレグラムチャンネルで「ウクライナがノヴォロシースクの西51km地点でSu-30戦闘機を誘い込み撃墜した」と記した。

ウクライナの海上ドローンがロシア戦闘機の撃墜に使用したとされる「AIM-9」は、米国開発の短距離ミサイルだ。ウクライナは米国から1発40万ドル(約5,744万6,238円)のAIM-9ミサイルの支援を受けたとされる。今回の攻撃に使用された海上ドローンのマグラ-V7は、オリジナル版のマグラ-V5にミサイル搭載機能を追加した改造版だ。マグラ-V5の価格は約27万ドル(約3,862万743円)で高価な兵器だが、今回撃墜されたとみられるSu-30戦闘機の価格が5,000万ドル(約71億5,199万円)であることを考えると、費用対効果の高い戦果だと評価されている。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は「武器・人員不足に苦しむウクライナという小国が、敵を弱体化させるより効果的な方法を見出した」と評した。
2022年に勃発したロシア・ウクライナ戦争で、ドローンの有用性は増している。ドローンはミサイルなど他の兵器に比べコスト効率が高く、迅速な大量生産が可能なためだ。
活用次第で破壊力も相当なものになる。2022年4月、ウクライナ軍の「バイラクタル」ドローンがロシア黒海艦隊の旗艦「モスクワ」の防空システムを混乱させた後、対艦ミサイルで撃沈した事例が代表的だ。その後、ウクライナが海上ドローンを投入して黒海でロシア艦船を破壊し、クリミア橋まで損傷させたため、ロシア黒海艦隊は現在ほぼ撤退している。ウクライナは2023年にトルコ製無人機を使って、ロシア軍のパトロール艇「KS-701」を破壊した。ロシア軍も「シャヘド-136」などの自爆ドローンを大量に使用してウクライナを空襲した。
米国もこのようなウクライナ戦を教訓にドローン能力の強化に乗り出した。トランプ政権で政府効率化省(DOGE)のトップを務めたテスラのイーロン・マスクCEOは昨年末、「F-35のような有人戦闘機を作る愚か者たちがまだいる」とドローンの有用性を強調した。
WSJによると、米陸軍は最近、戦闘団にドローン1,000機以上を新たに配備し、老朽化した武器や装備を更新するため「陸軍変革プロジェクト」に着手した。今後5年間で総額360億ドル(約5兆1,705億円)が投じられる。この再編計画は冷戦終結以来の最大規模だ。WSJは「米陸軍の10個現役師団は、補給品の輸送と攻撃に無人航空機を導入する」とし、「軍用車両のハンヴィーや軽戦車など旧式兵器の一部は廃棄される見込みだ」と伝えた。