ドナルド・トランプ米大統領が、自ら発行した暗号資産(仮想通貨)に関する晩餐会を開催する計画を明らかにし、政界と市場に波紋が広がっている。

トランプ大統領は5日(現地時間)、バージニア州のトランプ・ナショナル・ゴルフクラブで開かれた「暗号資産&AI革新者ディナー」に出席した。
このイベントには、「クリプト・ツァー(暗号皇帝)」の異名を持つ投資家デイビッド・サックス氏も同席した。晩餐会の参加費は1人当たり150万ドル(約2億1,665万2,032円)に設定され、報道陣には非公開で行われた。
トランプ大統領はソラナ(SOL)基盤のミームコイン「トランプコイン($TRUMP)」保有者を対象としたガラ・ディナーを22日に開催すると発表した。

このイベントには、トークン保有数の上位220名が招待される予定で、上位25名にはホワイトハウスツアーやVIPレセプションなどの特典が用意されているという。
参加資格はウォレット内のトランプコイン保有数に応じて決定され、公式サイトではリアルタイムのランキング表も公開されている。
こうした動きに対し、政界からは強い反発が起きている。
民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員とアダム・シフ下院議員は共同書簡を発表し、「トランプ大統領が大統領職を利用して、自身の関係事業に関連する仮想通貨投資家に特権的アクセスを提供している」と批判した。
ウォーレン議員は特に、トランプ大統領の息子エリック・トランプ氏が共同設立したワールド・リバティ・ファイナンシャル(WLFI)が発行したステーブルコイン「USD1」についても問題視している。
このコインは、アブダビを拠点とするMGXグループによる20億ドル(約2,888億6,937万円)規模の投資により急騰し、現在世界7位のステーブルコインに浮上している。
論争はさらに広がりを見せている。監視団体アカウンタブル・US(Accountable.US)は今回の晩餐会は「米大統領史上最も露骨な私益追求の例だ」と厳しく批判した。
同団体は暗号資産「トロン(TRX)」創設者のジャスティン・サン氏がトランプコインの最大保有者である可能性を指摘し、当該コインの全供給量の約80%がトランプ関係者に集中していると主張した。
一方で、こうした批判にもかかわらず、トランプコインの価格は先月のディナー発表以来50%以上も急騰している。
専門家の間では、「今回の一連の動きは、暗号資産と政治の境界をさらに曖昧にする事例であり、今後の米国における関連法制に重大な影響を及ぼす可能性がある」と指摘している。