NATOの空爆を受けたセルビア国防省跡地
文化財指定解除のための文書偽造が発覚

ドナルド・トランプ米大統領一族が推進してきたセルビアの高級ホテル建設計画が暗礁に乗り上げたと、米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)が14日に報じた。
NYTによると、ホテル建設予定地である旧ユーゴスラビア国防省庁舎跡地の文化財指定を解除する政府文書が偽造されていたことが明らかになったという。
トランプ大統領の婿ジャレッド・クシュナー氏と息子らなど事業パートナーは、1999年の北大西洋条約機構(NATO)空爆で破壊された旧ユーゴスラビア国防省庁舎跡地に高級住宅および商業施設を整備する計画を進めてきた。この場所には欧州初のトランプ・インターナショナル・ホテルも建設される予定だった。
しかし、セルビア文化財保護研究所の責任者が国防省跡地の解体とホテル新築を許可するために政府文書を偽造したことを検察に自白した。
この事業は当初、セルビア政府が国防省跡地の文化財保護指定を正式に解除する前の昨年から暫定的に承認されていた。
セルビア検察は、文化財保護研究所のゴラン・バシッチ所長代行が国防省庁舎跡地の文化遺産保護指定を解除するための政府決定を正当化するために専門家の意見書を改ざんしたと明らかにした。
彼が偽造した文書が国防省跡地の保護措置を解除する法的根拠となっていた。
クシュナー氏が経営するアフィニティ・パートナーズは声明で「文化財指定の審査過程には一切関与していない」とし、「当該敷地での工事はまだ始まっておらず、今回の事件によりプロジェクトの今後の進展が不透明になった」と述べた。
当該敷地は予備契約に基づき、クシュナー氏らの事業者に99年間貸与される予定だった。
セルビアでは歴史的建造物が解体され、その場所に米大統領一族が建設する高級ホテルが入ることへの反発が広がっている。
セルビア議会の野党議員らは文書偽造の事実が明らかになると、トランプ大統領とクシュナー氏一族が特別待遇を受けて契約を獲得したと非難している。
当該敷地の解体に反対する抗議デモがベオグラードで何度も行われ、NATO空爆から26年となる今年3月にも抗議活動があった。
セルビアでは当局者の汚職に抗議し、アレクサンダル・ヴチッチ大統領の辞任を求めるデモが続いている。
しかし、トランプ大統領の息子ドナルド・トランプ・ジュニア氏が最近セルビアを二度訪問してヴチッチ大統領を支持し、ヴチッチ政権がトランプ・クシュナー一族のホテル計画を迅速に承認した。