
日本の自動車大手・日産は、事業再編の一環として中国の国有企業である東風汽車と、世界中の工場を共有する可能性があると発表したと、BBCが16日に報じた。
英国で従業員を雇用している日産は、BBCに対し「東風を日産の生産エコシステムに組み込むことができる」と述べた。
日産は今週、従業員1万1000人の削減と7つの工場の閉鎖を発表したが、どの工場で削減が行われるかについては明らかにしていない。
イバン・エスピノサ日産最高経営責任者(CEO)は、15日にフィナンシャル・タイムズ(FT)主催のカンファレンスで、日産の英国工場について「サンダーランドで新車を発売する。短期的にサンダーランドを回避する計画はない」と述べた。
日産による中国との関係強化の発表は、英国の対中貿易関係が注目を集める中で行われた。
英国政府は14日、先週米国と締結した関税協定が中国に悪影響を与える可能性があるとの指摘に対し、「米国との関税協定には中国投資に対する拒否権のような条項は含まれていない」と反論した。
英米間の協定では、ドナルド・トランプ前米大統領による金属および自動車に対する関税引き上げが撤回された一方で、英国が米国に輸出する鉄鋼およびアルミニウム製品に対して「サプライチェーンの安全性」に関する米国の要求を即時に満たすことが条件として盛り込まれている。
中国は、英国を経由した米国向けの輸出から除外されることを懸念していると報じられている。
今回の日産の人員削減は、米国や中国など主要市場での販売不振を受けて、昨年11月に発表された9000人を上回る規模となった。全体で従業員の15%に相当し、日産は世界全体の生産量を5分の1削減する方針を示した。
日産は、激しい競争による価格下落の影響で、中国市場での展開に苦戦してきた。
日産は20年以上にわたり、北京汽車の子会社である東風と提携しており、現在も中国・武漢での自動車生産で協力している。
日産は昨年2月にホンダ自動車との合併交渉を行ったが、失敗に終わった。交渉決裂後、内田誠CEOは、最高企画責任者兼モータースポーツ部門責任者であるエスピノサに交代した。
日産は今週、6700億円の損失を計上し、トランプ政権下の関税政策により苦境に立たされている同社にはさらなる圧力がかかることとなった。