「米中の技術覇権競争、さらに激化し危険度が増す」
– ジョンズ・ホプキンズ大学
のハル・ブランズ特別教授インタビュー

米中の覇権競争が激化する中、ジョンズ・ホプキンズ大学の特別教授、ハル・ブランズ氏は「関税戦争には一時的な休戦の可能性があるが、技術を中心とした戦略的競争はさらに深刻化する」と予測した。毎日経済とのインタビューで、トランプ政権が2期目を迎えた場合、米中の軍事衝突リスクが高まる可能性があると分析した。
ブランズ氏は、技術が地政学的リーダーシップを左右すると指摘し、AI、量子コンピューティング、合成生物学、通信などの先端技術分野が今後の主要な戦場になると説明。「米国が中国を効果的に抑制するには、同盟国との技術協力が不可欠だ」と強調した。
中国経済の構造的な弱点にもかかわらず、レアアースや電気自動車などでの優位性を利用した戦略的圧力が続いていると分析。「経済が衰退するほど、中国は技術支配を通じて外交的レバレッジを強化しようとするだろう」とし、この「技術の台頭」が米国のリーダーシップに実質的な脅威をもたらすと警告した。
特に台湾を巡る軍事的緊張について、「中国の軍事的自信が高まっており、習近平主席が米国の同盟関係の弱体化を確信すれば、軍事行動に出る可能性もある」と述べた。
トランプ政権の関税政策については「経済的結束を弱め、同盟関係に危機をもたらす可能性がある」と懸念を示した。高関税と在韓米軍の削減などの措置が組み合わさると、同盟の信頼が大きく揺らぐ可能性があるという。
また、米国が為替を交渉カードとして同盟国に圧力をかける可能性も指摘。ブランズ氏は「プラザ和解とは異なり、今日の米国のリーダーシップは不透明で、トランプ大統領の和解実行可能性も低い」とし、新たな通貨和解は容易ではないと予測した。
最後に、トランプ政権が関税政策の目標を明確に定められず、国際経済に深刻な不確実性をもたらしていると指摘した。

引用:ハル・ブランズ