「保守優位」の米連邦最高裁
一時保護資格解除を容認
大規模な強制送還制作に追い風

保守派が多数を占めるアメリカ連邦最高裁判所は、下級審の判決を覆し、ベネズエラ出身移民に対する「一時的保護資格(TPS)」を維持する必要はないとの判断を下した。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、連邦最高裁は20日(現地時間)トランプ政権によって進められてきたベネズエラ人へのTPS適用終了措置を実施することを認めたという。判決は略式で発表され、詳しい判示理由は示されなかった。9人の裁判事のうち、ケタンジ・ブラウン・ジャクソン判事1人のみが反対意見を表明したとされている。
1990年に導入された TPSは、戦争や災害などにより母国に帰国できない外国人のアメリカ滞在を支援する制度である。国土安全保障省長官の判断によりTPSの対象とされた国の出身者は、就労許可などを通じてアメリカに合法的に滞在することができる。
第2期トランプ政権は、今年2月にTPS対象国からベネズエラを除外する決定を下した。すると、これに対して、行政の決定を無効にするよう求める訴訟が相次いだ。これまで第1審および控訴審は、本案訴訟が進行している間はTPSの継続を命じていたが、今回、連邦最高裁がこれを覆した形となった。
ホワイトハウスのアビゲイル・ジャクソン報道官は、同日「TPSは文字通り『一時的』なものだ」とし「これは国土安全保障省長官の裁量によって決定される事項であり、連邦地裁が行政の移民法執行を妨げる権限はない」と強調した。
ベネズエラに対するTPSが撤回されれば、約35万人のベネズエラ人が就労・居住資格を失うことになる。すなわち「強制退去のリスク」にさらされる可能性があるということである。