中国の大手テック企業「シャオミ(Xiaomi)」が独自の半導体開発に乗り出す。これは最近、米中貿易摩擦が激化する中、半導体の自立を推進している中国政府の方針に沿った動きだと評価されている。

今月19日(現地時間)、海外メディア「ウォール・ストリート・ジャーナル」などの報道によると、シャオミのレイ・ジュンCEOは自身のSNSアカウントを通じて、今後10年間で約500億元(約9,955億3,650万円)を投じて独自の半導体を設計すると発表したという。シャオミの広報担当者は、今年からこの資金投入を開始する計画だと述べた。
さらにジュンCEOは、シャオミが今月22日に行われるイベントで自社開発の3nmチップ「Xring O1」を発表する予定だと明かした。このチップは次世代スマートフォンに搭載される見込みだ。
シャオミは2017年に初の独自モバイルチップ「Surge S1」を開発したが、技術力と資金の問題から2019年に開発を中止した。その後、同社のフラッグシップモデルのスマートフォンにはクアルコムのチップ「Snapdragon」が搭載されてきた。
シャオミはすでに高性能モバイルチップの開発に135億元(約2,709億4,818万円)を投資したとされている。
独自のモバイルチップを搭載したスマートフォンは、ハードウェアとソフトウェアの統合や、競合他社との差別化されたユーザー体験が提供できるなどの利点がある。しかし、莫大なコストと高い技術的な障壁のため、アップル、サムスン電子、ファーウェイなど、世界的なスマートフォンメーカーのごく一部しか自社チップを設計していない。大半の企業はクアルコムやメディアテックなどの外部企業に依存している。
新しいチップの開発により、アメリカの制裁の影響を受け先端チップ開発に苦戦しているファーウェイとの競争でシャオミが優位に立てるとの見方も出ている。
シャオミはスマートフォン市場でも躍進を続けている。調査会社「Canalys」によると、今年第1四半期の中国市場におけるシャオミのスマートフォン出荷台数は前年同期比40%増の1,330万台を記録し、10年ぶりに市場シェア首位を奪還したという。
なお、シャオミは今回のイベントで初の電気SUV「YU7」と新型スマートフォン「Xiaomi 15SPro」も公開する予定だ。