
「北朝鮮代表団は、敵対的かつ政治的な動機で我が国の尊厳と威信を傷つけ、主権を侵害するために招集されたこの会議を強く非難し、拒絶する」
20日午前、米ニューヨークの国連本部で開かれた総会で、北朝鮮のキム・ソン国連大使はこう声を荒らげた。この日の総会では北朝鮮人権に関する高官会議が行われた。国連総会は北朝鮮内の人権侵害状況を公表し、その改善策を盛り込んだ北朝鮮人権決議案を毎年採択している。国連加盟国は昨年11月に可決された決議案に「決議案の作成にとどまらず、各国高官が集まってこの問題を議論しよう」という内容を初めて盛り込んだ。これにより、2005年の国連総会で初めて北朝鮮人権決議案が採択されてから20年ぶりに、この日の総会が開催された。国連加盟国であり、今回の議論の当事者である北朝鮮も出席した。

この日の総会場を観察していると、北朝鮮の国際社会における立場が明確に見て取れた。午前10時に総会が始まると、北朝鮮代表部の参事官は総会場中央列の前方5番目の指定席に着席した。右隣の列前方に中国代表部が座っていたが、彼らとは挨拶はおろか目も合わせなかった。近くに座る国同士で軽い挨拶を交わすのが通例だが、北朝鮮は最も近くに座るチェコとも挨拶を交わさなかった。北朝鮮の参事官は会議中ずっと斜めに座り続けた。
国連北朝鮮人権状況特別報告者であるエリサベス・サルモン氏の北朝鮮人権状況報告に続き、脱北者のキム・ウンジュ氏(韓国統一部の北朝鮮人権増進委員会委員)が北朝鮮の実情について演説した。その後の午前10時35分、北朝鮮のキム・ソン大使が遅れて会議場に現れた。脱北者のカン・ギュリ氏や民間人権団体「ハンボイス(HanVoice)」のショーン・チョン代表が金正恩政権を批判する際、キム大使は参事官と時折言葉を交わしながら、自身の発言資料を整理していた。
その後、用意した原稿を手にマイクを握ったキム大使は「言葉の爆弾」を投下した。彼は「国連本部でこのような会議が招集されたことは衝撃的だ」とし、「さらに遺憾なのは、親や家族すら顧みない地上のクズ(scum of the earth)のような者たちを証人として招いたことだ」と述べた。北朝鮮の人権問題を指摘するために発言した脱北者たちを公然と非難したのである。
さらに、キム大使は「こうした人権団体は奴隷集団であり、今日の会議は彼らが惨めな生計を維持するために捏造された虚偽の資料に基づいている」とし、「国連人権裁判所に座るべき真の犯罪者は『最悪の人種差別国家』、『人身売買の王国』、『自殺大国』、『性奴隷犯罪国家』である米国と西側諸国だ」と主張した。
キム大使の4分間の発言が終わるや否や、指定席にいた参事官も立ち上がり、左手をポケットに入れたまま会議場を後にした。北朝鮮の人権状況に関する加盟国の意見を一切聞かずに、自分たちの主張だけを述べて去っていったのである。隣にいた外国人記者は「北朝鮮が国際的孤立を自ら招いている」と述べた。北朝鮮の態度を見て首を横に振る外交関係者の姿も見られた。

韓国は北朝鮮政権を名指しで深刻な人権侵害問題を指摘した。韓国のファン・ジュングク国連大使は「北朝鮮の人権侵害は長らく核の脅威に隠れていたが、人権侵害こそが北朝鮮政権の真の本質を表している」とし、「北朝鮮は多くの面でジョージ・オーウェル氏の小説『1984』の実写版だ」と述べた。
総会で発言した国のうち、北朝鮮を擁護したのはロシアと中国だけだった。ロシアは「一部の国の人権状況について一方的に決議案を採択する慣行を支持しない」とし、「限られた資源でコロナを成功裏に克服するなど、人権保護に対する北朝鮮の努力は深刻な外部からの挑戦の中でも実践されている」と述べた。
中国も北朝鮮の立場を支持したが、与えられた3分を使い切らなかった。中国は「一部の国にとって人権問題は北朝鮮を攻撃し、中傷し、圧力をかける手段に過ぎない」と主張した。また、脱北者の強制送還に対する批判には「中国は経済的理由で中国に入国した個人に対し、国内法、国際法、人道的配慮を組み合わせた原則的立場に基づいて一貫して対処してきた」と反論した。