2020年以降に生まれた世代は、気候災害の影響により、生涯にわたって前例のない猛暑を経験することになるという研究結果が発表された。

産業化以前と比べて地球の平均気温が1.5度上昇した場合、2020年に生まれた子どもたちの半数以上が、生涯にわたり前例のないレベルの猛暑にさらされる可能性があるとの分析結果が示された。気候変動は単なる自然現象を超え、世代間に構造的な不平等をもたらす可能性があるという科学的根拠が提示された形だ。
今月7日(現地時間)、国際学術誌『ネイチャー』によると、ベルギー・ブリュッセル自由大学のルーク・グラント教授が率いる国際共同研究チームは、気候モデルや人口統計データ、気候影響シミュレーションを用いて、年齢別に「前例のない気候災害」にさらされる可能性を推定し、こうした結論を導き出した。
「前例のない気候災害」とは、産業化以前の自然状態において1万人に1人が経験するかどうかという極端な気象環境を指す。
温室効果ガスの排出削減政策が現在の水準で維持され、地球の平均気温が産業化以前と比べて2.7度上昇した場合、2020年生まれの子どもの約83%が生涯を通じて極端な猛暑を経験することになると分析された。この割合は1960年生まれの2倍に相当する。気候政策が失敗し、気温上昇が3.5度に達した場合、猛暑を経験する子どもの割合は92%に急増する。世界全体で約1億1100万人の子どもが、生涯にわたり繰り返される気候災害にさらされる可能性があるという。一方で、地球の気温上昇を1.5度以内に抑えることができれば、3800万人以上の子どもが猛暑から守られるとの予測も併せて示された。
研究チームは、猛暑のほかに干ばつ、農作物の不作、森林火災、熱帯性サイクロン、河川の氾濫といった6つの主要な気候災害について分析を行った。その結果、2020年以降に生まれた世代では、すべての項目において暴露頻度が統計的に有意に増加することが明らかになった。
研究チームは、今回の研究には国内における人口移動や出生率・死亡率の変化を考慮していないという限界があるとしながらも、それでも気候変動への対応において、将来世代の保護が最優先されるべきであることを裏付ける結果だと強調した。
チューリッヒ工科大学のソニア・セネヴィラトネ教授は、「この研究は、現在の意思決定者が若い世代の未来に対していかに大きな責任を負っているかを示している」と述べた上で、「今日、私たちが下す判断は、子どもたちが一生にわたって直面する気候リスクを決定づけることになるだろう」と語った。