暗号資産パイコイン(PI・Pi Coin)を展開するパイネットワークが、今年初めてのメインネットローンチ時に高い期待を集めていたが、大規模な内部者による売却と価格暴落を受け、激しい議論を呼んでいる。

最新のブロックチェーン分析によると、プロジェクト内部から約1,200万個のパイコインが短期間で売却され、これによりトークン価格が半分以上下落したという。
この事態は、2025年における仮想通貨業界最大規模の「ラグプル(投資家の資金を持ち逃げする詐欺の一種)」として認識される可能性があると指摘されている。
21日、バイナンスなど複数の取引所の報告によると、パイネットワークは当初から「大衆のための暗号資産」をスローガンに掲げ、スマートフォンアプリを通じて誰でもマイニングへ参加できる仕組みで、急速にユーザー基盤を拡大してきたとされる。
全世界で数千万人がパイコインのマイニングに参加しており、メインネットの立ち上げ後には、報酬とエコシステムの拡大を待ち望んでいた。
しかし、今年初めにメインネットが正式に稼働して以降の展開は、投資家の期待とは全くかけ離れたものだった。パイコインは初期市場で1.60ドル(約229円)まで上昇し、順調なスタートを切ったかに見えたが、その直後の大量の売却が発生し、価格は急落した。

仮想通貨アナリストのアトラス(Atlas)氏は、「パイコインの価格急騰後わずか数時間のうちに1,200万個のパイコインが市場に流出し、これらはパイコアチームに関連するウォレットから発生した」と分析している。
この動きは単なる利益確定を超え、計画的な内部者取引および相場操縦の可能性を示唆している。
コミュニティ内の研究者のドクターパイコイン(Dr. Picoin)氏は、トークンの移動経路を独自に追跡した結果、「価格上昇の直前に大量のトークンが外部に移転され、その後急激な売却が集中した」と明らかにした。特に、一部の内部関係者が「パイ」の名を利用してBTYトークンなどの別資産を投資家に売却した形跡も浮かび上がった。
論争の焦点となったのは、パイコアチームがメインネット開始直後に発表した1億ドル(約143億2,843万2,594円)規模のベンチャーファンドである。多くのユーザーが実用的な分散アプリケーション(dApp)のリリースやトークン流通の拡大を期待していたが、開発チームは投資ファンドの設立に注力し、これに対して、コミュニティ内には混乱と不信感を露わにした。
一部では、パイネットワークがテストネットからメインネットへの移行過程にあることを強調し、一時的な調整段階だとの見方を示している。
しかし、アトラス氏をはじめとする批判的な立場の専門家たちは、「パイの構造的中央集権化、透明性の欠如、実用性の不足といった根本的な問題を指摘し、このプロジェクトが実質的には典型的なポンプ・アンド・ダンプ(pump-and-dump)型の詐欺であると主張している。
パイコインは一時、大衆に親しみやすい仮想通貨として注目を集めたが、今回の事態により、投資家の信頼を著しく損なう結果となった。急激な価格上昇と内部者売却、不透明なロードマップといった要素が重なった今回の事件は、過度な期待と現実のギャップが生み出した典型的な失敗例として記録される可能性が高い。
現在、パイネットワーク側は依然として疑惑を否定し、メインネットのエコシステム拡大とユーザー報酬のための新たなロードマップを発表する予定だと表明している。しかし、多くの投資家が実質的な損失を被っている現状において、開発チームへの信頼を回復するのは容易ではないと見られている。