ジェローム・パウエル議長、プリンストン大学の卒業式で祝辞
「民主主義の守護」に言及、政権を牽制

トランプ大統領、ハーバード大学への攻撃を継続
「留学生の名前・国籍の公開」を要求
利下げを巡り対立しているアメリカのドナルド・トランプ大統領と連邦準備制度のジェローム・パウエル議長が、今度はアメリカの大学への圧力を巡って対立を深めている。トランプ大統領は自身の要求を拒否したハーバード大学への攻撃を続け、パウエル議長は母校であるプリンストン大学の卒業式で民主主義の守護を訴えた。金利政策を巡る両者の対立構造がそのまま再現された。
トランプ大統領は今月25日、自身のSNSで「なぜハーバード大学は学生の約31%が外国出身だと明かさないのか」と指摘し、「誰も(留学生の数を)教えてくれない」と批判した。さらに「一部の国はアメリカに友好的ではなく、自国学生の教育に一銭も使っておらず、教育への意思もない」とし、「これらの留学生が誰なのか知りたい」と主張した。「ハーバード大学に数十億ドルを支援している以上、これは妥当な要求だ」とし、「彼らの名前と国籍が知りたい」と繰り返して要求した。これは反ユダヤ主義対策などを理由に学則の変更を求めたトランプ政権の要求に対しハーバード大学が学問の自由を侵害しているとして拒否したことに端を発した対立の延長線上にあると見られる。トランプ政権はこれまで免税特典の取り消し警告や研究助成金の削減・凍結に加え、今月22日には留学生および学生・交流訪問者プログラム(SEVP)の認証を取り消し、留学生の在籍資格を剥奪するなど強硬な措置を講じたが、現時点では裁判所の判断により認証の取り消しの効力は停止されている。海外メディア「ニューヨーク・タイムズ」は、トランプ大統領のこうした動きをアメリカ名門大学のDEI(多様性・公平性・包括性)政策を標的とした「文化戦争」の一環と分析している。
イギリス「フィナンシャル・タイムズ」によると、パウエル議長はこの日のプリンストン大学の卒業式で「我々の優れた大学は世界が羨む存在であり、重要な国家資産だ」と述べ、「これらを当然のものと考えてはならない」と強調した。さらに「50年後、過去を振り返ったとき、皆さんが民主主義を守り強化するために必要なすべてを行い、建国の父たちの時代を超える理想にさらに近づけたと思えるようになりたいだろう」と語った。パウエル氏は「50年後、人生のあらゆる面で自分が正しいと信じたことを実行したと鏡に映る自分に言えるようになりたいはずだ」とし、「結局のところ、あなたが持っているのは誠実さだけだ」と説いた。パウエル議長の民主主義への言及は、実質的にトランプ政権の名門大学への圧力を念頭に置いたものと解釈される。
一方、マサチューセッツ工科大学(MIT)などアメリカの主要大学の幹部らは、政府の一措置だけで留学生の在籍が阻止される可能性があるという事実に衝撃を受けていると、ニューヨーク・タイムズは報じている。