
アメリカ・ハワイ島(ビッグアイランド)のキラウエア火山が9日ぶりに噴火し、エッフェル塔の高さに匹敵する溶岩を噴出した。真っ赤な溶岩が空高く噴き上がる光景は自然の驚異を感じさせる。噴火の過程で発生する有害物質が遠方まで飛散し、人体に悪影響を及ぼす可能性があるとして、当局は注意を呼びかけている。
アメリカ地質調査所(USGS)傘下のハワイ火山観測所(HVO)は26日(現地時間)、キラウエア火山の報告書で、同火山の山頂カルデラ地形であるハレマウマウ火口で前日午後4時15分から溶岩の噴出が始まり、約6時間後に終了したと発表した。この火口はホノルルから南東約320km離れたハワイ火山国立公園の立ち入り禁止区域内に位置している。

ハワイ先住民が信じる火山の女神「ペレ」の宮殿を意味するハレマウマウは、直径1km、深さ85mの火口で、2つの噴出口を持つ。北側の噴出口がまず溶岩を噴出し始め、10分後には連続的な噴出となり、30分で300mの高さに達したとのことだ。
USGSがYouTube チャンネルでライブ配信したウェブカメラ映像には、溶岩が空高く噴き上がる様子が収められており、これはエッフェル塔の高さ(324m)にほぼ匹敵する規模だった。火口の南側の噴出口でも溶岩が250mの高さまで連続的に噴き上がる現象が観測された。
HVOによると、北側と南側の噴出口はそれぞれ午後9時48分と10時25分に噴火を終えたという。
ただし、今回の噴火により火山灰が上空1,500mまで舞い上がるなど、有毒な煙が地域社会に広範な影響を及ぼす可能性があるとして、当局は懸念を示した。
火山ガスの大部分は水蒸気だが、二酸化炭素や二酸化硫黄も含まれている。特に二酸化硫黄は大気中で反応して「ボグ(vog)」と呼ばれる火山性スモッグを生成し、呼吸器疾患などの健康被害を引き起こす恐れがあるとされている。

もう一つの懸念は「ペレの髪の毛」と呼ばれる微細な火山ガラスの破片だ。溶岩の噴出過程で発生する糸状の火山ガラスで、通常は山の斜面に落ちるが、風が強ければ軽いものは遠くまで飛散し、皮膚や目を傷つける可能性もある。そのためHVOの関係者は、住民や観光客に対し、こうした物質への曝露を避けるよう注意を呼びかけた。
キラウエア火山は世界で最も活発な火山の一つで、昨年12月23日の噴火以降、断続的な噴出を続けており、今回が通算23回目の噴火となる。