イーロン・マスク氏は最近、下院で可決された共和党の支出法案を批判し、これが自身の政府支出削減の努力と矛盾すると指摘した。これはドナルド・トランプ米大統領の側近で、トランプ政権下で政府効率省（DOGE）を率いてきたマスク氏による、トランプ政策への最も公然たる批判となる。
CNBCの28日（現地時間）の報道によると、マスク氏は6月1日放送予定の「CBSサンデーモーニング」のインタビューで、トランプ大統領の言う「大きく美しい法案」は国家財政に寄与しないと批判した。
マスク氏は社会メディアプラットフォームXで共有した動画で、「率直に言って、予算赤字を削減するどころか、むしろ増大させる巨額の支出法案を見て失望した」と述べ、この法案は自身が率いるDOGEチームの取り組みを台無しにすると説明した。
マスク氏はトランプ政権発足直後にホワイトハウスで発表されたAIインフラ関連の5,000億ドル（約72兆8,796億円）規模の「スターゲートプロジェクト」についても「彼らには資金がない」と批判したことがある。その後、自動車部品関税に関して反対意見をトランプ大統領に進言したと明かし、ホワイトハウスの貿易顧問ピーター・ナバロ氏とは公然と口論を交わしたこともある。
マスク氏の説明によると、DOGEは1月の業務開始以来、納税者の資金1,700億ドル（約24兆7,733億円）を節約した。コンサルティング会社チャレンジャー、グレイ＆クリスマスの調査結果によれば、DOGEの措置により約27万5,000人の政府職員が解雇された。マスク氏のトランプ政治への積極的関与の代償として、マスク氏と彼の企業テスラは米国内で広範な反対デモの標的となった。テスラは今年、世界市場でブランド毀損と販売不振に直面している。
議会予算局（CBO）の試算によると、トランプ大統領の共和党が減税法案で今後10年間の米国の財政赤字を3兆8,000億ドル（約553兆9,814億円）増やすと見られる。今年の連邦赤字だけでも2兆ドル（約291兆5,691億円）に達すると予測されている。現在、米国の国家負債は36兆2,000億ドル（約5,276兆6,942億円）に上る。
トランプ大統領と共和党議員らは、この法案が主要分野の支出を削減し、減税効果を相殺するほどの経済成長をもたらすと主張している。しかし、この法案は上院で強い反対に遭う可能性が高い。
マスク氏はDOGE関連の業務を終了し、X、テスラ、スペースXを含む自身の企業経営に専念する計画を明らかにした。
前日に公開されたワシントン・ポストとのインタビューで、マスク氏は「連邦官僚主義は私が想像していたよりもはるかに悪い」と述べ、DOGEが「すべてのものの生贄」になったと主張した。