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2025年05月31日土曜日
ホームニュース米国が中国人留学生27万人を「潜在的スパイ」認定…ビザ一斉取り消し開始、米中貿易戦争が大学教育分野にも波及

米国が中国人留学生27万人を「潜在的スパイ」認定…ビザ一斉取り消し開始、米中貿易戦争が大学教育分野にも波及

引用:Depositphotos

米国のトランプ政権が「国家安全保障上の脅威」を理由に外国人留学生のビザ発給を一時停止する中、米国内の中国人留学生のビザ取り消しも検討し始めた。米国が中国人留学生を「潜在的スパイ」とみなす姿勢を示し、米中貿易戦争が大学教育分野にまで波及する様相を呈している。

マルコ・ルビオ米国務長官は28日(現地時間)、声明を発表し、「中国共産党と関係がある、または『機微な分野』を学んでいる中国人留学生のビザを積極的に取り消す」と述べ、「米国土安全保障省と協力してこれを迅速に実行する」と明らかにした。米国務省は今後、中国・香港からの入国ビザ審査を厳格化する方針も示した。ルビオ長官は「中国・香港からのすべてのビザ申請に対する審査を強化するため、ビザ発給の基準を見直す」と語った。

今回の発表は、中国人留学生が米国で学びながら取得した産業・安全保障に関連する情報を中国政府に提供する可能性があるとみて、技術・情報流出を根本から防ぐ措置と評価されている。ただし、どのような基準で留学生と共産党との関連性を判断するかなど、詳細は明らかにされていない。「機微な分野」の具体的内容も公表されていない。これについてニューヨーク・タイムズ(NYT)は、「物理学・化学など科学分野の研究を指す可能性が高い」と報じている。

米国務省は前日、全ての在外公館に新規留学生のビザ発給を一時停止するよう指示した。そして今回、中国人留学生を特定してより厳格なビザ発給の方針を打ち出した。CNNテレビは、「この措置により、中国人を含む留学生が主要な収入源となっている米大学の不安が高まる可能性が高い」と懸念を示した。米国国際教育研究所(IIE)によると、2023~24学年度に米国の大学で学ぶ中国人留学生は27万7,000人に上り、インドに次いで世界2位の規模となっているという。

トランプ政権は前期においても一部の中国人留学生に対するビザ発給を制限していた。2020年、トランプ政権は中国の軍事大学と関連のある中国国籍者の米大学の在学を禁止すると発表した。また、「高リスク群」と特定された中国人の大学院生・研究者に対するビザを1,000件以上取り消す大統領令に署名した。特に米国内の中国人留学生数十万人を対象とするビザ取り消しの方針は、その規模や影響がさらに大きくなると予想される。

中国政府は、自国の留学生のビザを積極的に取り消すという米政府の方針に対し、「政治的差別」だとして反発した。中国外務省の毛寧報道官は同日の記者会見で「米国がイデオロギーと国家安全保障を口実に中国人留学生のビザを強引に取り消すことは、中国人留学生の正当な権益を著しく損ない、両国間の正常な人的交流を阻害する」と述べた。また、この問題について外交ルートを通じて強く抗議したことを明らかにした。中国当局が国内の米国人留学生の追放など対抗措置を取る可能性も取り沙汰されている。ただし、中国で学ぶ米国人留学生は1,000人未満(2023年基準)で、米国で学ぶ中国人留学生よりはるかに少ない。

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