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2025年06月02日月曜日
ホームニュース「USスチールを日本に持ち帰ることはできない」米政府が取締役会掌握・拒否権行使で実質支配の構図

「USスチールを日本に持ち帰ることはできない」米政府が取締役会掌握・拒否権行使で実質支配の構図

引用:Depositphotos
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日本製鉄によるUSスチール買収交渉について、ドナルド・トランプ米大統領は30日、「これは買収ではなく投資だ」と述べ、最終合意には至っていないことを明らかにした。ペンシルベニア州ピッツバーグ近郊のUSスチール工場で演説後、記者団の質問に答えた。

トランプ氏は「米国が管理する。取締役会も米側が掌握することになる。もっと重要なのは、施設に投資しているという事実だ」とし、「それ(USスチール)を日本に持ち帰ることはできない。そんなことは起こらない」と述べた。

共和党のデイブ・マコーミック上院議員は、米政府が「黄金株(ゴールデン・シェア)」を保有し、USスチールの取締役任命や重要案件に対する拒否権を行使できる見通しであると説明している。これにより米政府は生産量の削減など国益に関わる経営判断に介入できる仕組みを整える。

一方で、実際に株を保有するのではなく、特定の経営判断に対し拒否権を与える契約条項として設定される可能性もあるとみられている。

米通商代表部(USTR)のジェイミソン・グリア代表は、「米国が製造業や先端技術などの重要産業を掌握することは、国家としての基本原則だ」としたうえで、「外国企業による買収や投資の際にも、その管理権は確保されなければならない」と強調した。

日本製鉄は、新たな製鉄所に170億ドルを投資する予定で、今後10年間はUSスチールの高炉を完全稼働させ、従業員の雇用も維持することを約束したという。

トランプ氏はまた、この買収交渉が米日通商協議に与える影響については「日本は貿易協定を結びたがっている。直接の関連はないが、悪影響もないだろう」と述べた。

この日の会見では他にも、中国人留学生のビザ取り消し方針に関して「問題はない。対象は個々の学生に限られる」と説明。さらに、テスラCEOイーロン・マスク氏の薬物使用疑惑には「知らなかった。彼について懸念はない」と語った。

ホワイトハウス高官を名乗る詐欺事件に対しては、「スージー・ワイルズ補佐官が適切に対応するだろう。彼女を装うことなど誰にもできない」と断言した。

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