
米国の雇用市場に減速の兆しが見られ、世界経済の不確実性が重なる中、安全資産としての「金(ゴールド)」が再び注目を集めている。
先週のニューヨーク商品取引所(NYBOT)の8月限金先物の終値は、6日(米東部時間)時点で1トロイオンス(31.10g)当たり3,346.60ドル(約48万3,569円)で取引を終えた。前週の終値3,315.40ドル(約47万9,061円)から31.20ドル(約4,508円)、率にして0.94%上昇した。
ドナルド・トランプ米大統領と中国の習近平国家主席による電話会談が行われたが、市場への影響は限定的だった。両首脳は貿易摩擦や重要鉱物問題などを協議したが、具体的な成果は得られなかった。一時的な安堵感はあったものの、金価格には特に好影響は見られなかった。
KCMトレードのティム・ウォータラー氏は「首脳間の通話が一時的に市場を落ち着かせたのは事実だが、投資家はすぐに経済指標に注目した」と述べ、「現在の金価格を押し上げているのは政治的要因ではなく、むしろ弱い雇用指標だ」と分析した。
実際、米国の新規失業保険申請件数は直近7か月で最高水準に達し、雇用市場の減速傾向を裏付けている。
FXリーダーズなどによると、現在の金価格は3,346ドル(約48万3,345円)付近で下値支持を受けている。これは先月31日の高値3,393ドル(約49万134円)から0.382のフィボナッチ戻り水準に当たり、技術的にも重要な意味を持つ。先月29日の安値3,271ドル(約47万2,511円)から始まった上昇トレンドラインも依然として有効で、買い圧力が維持されている。
さらなる下落があれば、3,332ドル(約48万1,322円)と3,317ドル(約47万9,156円)が次の防衛ラインとなる可能性がある。一方、上値抵抗線は3,364ドル(約48万5,3913円)、3,393ドル(約49万102円)、そして強い上昇が見られれば3,414ドル(約49万3,135円)まで伸びる可能性がある。現在の金価格は50日移動平均線の3,339ドル(約48万2,302円)を上回って推移しており、短期的には上昇基調にある。
テクニカル指標のMACDは現在方向感を失っており、市場が明確なトレンドなしに混沌とした状況にあることを示唆している。ただし、シグナルラインを上抜けた場合、買い圧力が再び優勢になる可能性もある。したがって、短期的にはニュースフローによって変動性が高まる可能性があるため、注意が必要だ。
今後のシナリオは明確だ。3,364ドル以上で終値をつけた場合、3,393ドルを経て3,414ドル、さらには3,437ドル(約49万6,458円)まで上昇する余地がある。
逆に、3,332ドルを割り込めば、3,297ドル(約47万6,235円)まで後退する可能性も否定できない。
専門家によれば、今後の金価格の分岐点は3,346ドルから3,364ドルの範囲になると予想されている。この範囲での取引量とトレンドの形成が、今後の投資判断において重要な鍵を握ることになりそうだと続けた。