
日本を含む主要7か国(G7)が今年開催される首脳会議で共同声明を出さない見通しだ。G7の共同声明が出ないのは、2014年以来初めてとなる。相互関税などでG7の設立理念である多国間主義から逸脱した行動をとった米トランプ政権の影響が大きいとの見方が強い。
朝日新聞と毎日新聞は10日、政府関係者の話として、G7が15〜17日にカナダのアルバータ州で開催される首脳会議で共同声明を出さない方向で調整していると報じた。
報道によると、G7は共同声明発表のための準備作業にも着手していないという。G7は米国、英国、フランス、ドイツ、日本、イタリア、カナダで構成される協議体だ。かつてはロシアを含むG8体制を形成していた時期もあった。
朝日新聞は、ロシアがクリミア半島を強制併合し、G7体制に戻った2014年以降、首脳会議の声明が出されなかった年はなかったと伝えている。
今回の首脳会議で共同声明発表が見送られる決定的な理由は、ドナルド・トランプ米大統領と他のメンバー国との認識の隔たりだと日本のメディアは分析している。毎日新聞は「トランプ政権の関税措置やロシア・ウクライナ戦争への対応を巡り、米国と各国との間の溝が露呈するのを避ける狙いがある」と指摘した。
さらに「トランプ大統領は従来から多国間協力体制に距離を置いてきた」とし、「政権1期目の時には、首脳会議の声明発表が見送られることはなかったものの、自由貿易などの表現を巡って他の首脳と対立する場面もあった」と報じている。
G7の首脳は今回の会議で重要鉱物のサプライチェーン強化、人工知能(AI)や量子技術を活用した経済成長などを議論し、分野ごとの成果をまとめた文書を発表する方針だ。