
中国政府がドローン部品の輸出規制を強化したことで、中国製部品の価格が2倍に跳ね上がっている。中国が商用ドローン市場を支配している状況下で、軍需市場とグローバルドローン業界は打撃を避けられない状況だ。
9日(現地時間)フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、最近、中国広東省深圳で開催された「世界ドローン大会」の参加者らは、中国製部品を扱うサプライヤーや仲介業者が部品価格を引き上げていると報じた。商用ドローン市場の規模は410億ドル(約5兆9,228億4,852万円)に達する。
情報分析会社ドローン・インダストリー・インサイツによると、中国は世界の商用ドローンの70〜80%を生産し、同時にスピードコントローラー、センサー、カメラ、プロペラなどの核心部品市場も押さえているという。特に最近、ウクライナ戦争や中東紛争で投入された民間用ドローンの威力が実証され、軍事的重要性が浮き彫りになっている。
中国当局は他国が民間用製品を軍事転用できないよう、ドローンおよびその部品に対する規制強化を模索してきた。輸出業者に特別許可を義務付け、規制対象技術も拡大する方針だ。
ドローンを輸出する中国国有企業の関係者は「包丁は野菜を切るために作られたが、他の目的にも使える」とし、「我々は合法的なルートを通じて正当な購入者にドローンを販売しているが、どう使用されるかは我々にはコントロールできない」と説明した。
特にここ数カ月間、米中貿易戦争の中で中国当局が軍用・商用ドローン部品への規制をさらに強化しているとの見方も出ている。あるトルコのドローンメーカー関係者は、規制対象となった中国製部品を確保するために信頼性の低い運送業者を利用せざるを得ず、価格も上昇していると指摘している。「先月は航空輸送で2,000ドル(約28万8,919円)だった部品が3,500ドル(約50万5,609円)に跳ね上がっている」と述べた。
軍用監視ドローンを製造するフランスの企業関係者は、欧州企業が中国の競合他社より3年遅れているため中国製部品への依存度が高いとし、「欧州製ドローンの開発に努めているが、中国と同等の技術で製造するのは現状では不可能だ」と語った。
また、昨年9月に熱画像カメラの輸出規制が強化された後、中国のサプライヤーがリスク負担などを理由に2倍の価格を提示しており、これを回避する代わりに人民元での決済や実名での通関申告書などを要求することもあると付け加えた。
深圳にある中国・イラン革新協力センターの関係者は、イラン企業の消防用ドローン購入を支援しようとしたが、厳格な税関検査のために断念したと述べ、現在は農業用ドローンのみ輸出可能な状態だと語った。