暗号通貨を発行するリップル社の最高技術責任者であるデイビッド・シュワルツ氏が11日(現地時間)、シンガポールで開催された「エイペックス2025」イベントで、XRP Ledger(XRPL)の主要アップグレードを正式に発表した。

シュワルツ氏によると、イーサリアム仮想マシン(EVM)と互換性のあるサイドチェーン(メインチェーンと連携する独立したブロックチェーン)が、今年第2四半期中に本格的にリリースされる予定だという。
このサイドチェーンの導入により、XRPLエコシステム内でイーサリアムベースの分散型アプリケーション(dApp)を直接稼働させることが可能となる。
これは、従来のXRPLの機能を超え、分散型金融(DeFi)分野への拡張を可能にする重要な転換点となる見込みだ。
シュワルツ氏は「XRPLは全てを網羅しようとしているのではなく、現実世界の金融ユースケースに焦点を当ててきた」と強調した。さらに「今回のサイドチェーンにより、より多くの開発者とユーザーを引き付ける基盤が整った」と述べた。
現在、このサイドチェーンはテストネット段階にあり、昨年10月に開発者向けネットワーク(devnet)で初期テストが開始された。この過程で87人の新規貢献者が様々なアプリケーションやツールの開発に参加しているという。
サイドチェーンは、アクセラー(Axelar)ネットワークを介してXRPLメインネットと接続され、この接続構造ではラッピングされたXRPがガス代として使用される。
この構造は、イーサリアムエコシステムの標準を部分的に採用しつつ、XRPL独自のスケーラビリティと速度を維持することを目的としている。
「U.Today」などの報道によると、XRPLはこれまでに総計33億件以上の取引を処理し、アクティブなウォレット数は600万を超えているという。これは、XRPLが単なる送金ネットワークを超え、実用的なブロックチェーンプラットフォームとして成長していることを示す指標と解釈される。
今回のサイドチェーン開発は、暗号資産業界全体でスケーラビリティと相互運用性への要求が高まる中で行われた。特にイーサリアムのdAppエコシステムの一部をXRPLに取り込めるという点で、戦略的意義が大きいとされる。