
米中両国がロンドンで開催した第2次貿易協議において、事実上の合意に達したことが明らかになった。最大の焦点となっていた中国から米国へのレアアース輸出については、輸出が一時的に再開されるものの、期間は「6か月限定」であることが分かった。
中国政府は今回の協議で、米国企業によるレアアース輸出許可申請を即時承認することで合意した。これは、先月ジュネーブでドナルド・トランプ大統領と習近平国家主席が交わした合意文書に基づく措置で、正式署名後、米企業は中国からのレアアース調達が可能になる。ただし供給は、中国側が前払い方式で提供する形だという。
トランプ大統領は、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に「中国との間でレアアース供給や中国人留学生の受け入れに関する合意に至った」と投稿した。協議内容について「最終的には私と習主席の承認が必要だ」と述べた。
中国、対米レアアース輸出規制を緩和したものの
前向きな姿勢を見せるトランプ大統領とは対照的に、中国が示した輸出再開の枠組みはわずか6か月に限られる。このため、今回の合意が長期的に維持されるかどうかは不透明だ。
仮に合意が持続されたとしても、その成果は単に数カ月前の状況に戻るだけにすぎないとみられる。つまり、トランプ大統領が今年4月初めに中国製品に対する関税を大幅に引き上げ、緊張を高めた後の状況に戻ることになる。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、「中国は将来的にレアアースを交渉カードとして利用する意図がある」と指摘した。戦略的に重要な鉱物の統制権を手放さず、6か月後に再び供給停止というリスクが米企業を脅かす可能性があるという。
米戦略国際問題研究所(CSIS)の鉱物安全保障プログラム責任者、グレイスリン・バスカラン氏も「中国は影響力を保持し続けたいと考えている」と指摘した。
米国内で中国の希土類戦略の武器化を憂慮
6カ月間という短期間ではあるが、今回の合意に伴い、米国側は中国への輸出制限措置の一部を段階的に緩和する方針を示した。対象となるのは、ジェットエンジンやその部品、天然ガス・石油採掘で副産物として得られるエタン(プラスチック原料)などだ。一方で、AIや高性能半導体といった核心的な米国技術に対する中国のアクセス制限については、解除の予定はないとされる。
米交渉団の関係者は「AIや半導体は今回の協議の対象にはなっていない」と明言した。さらに「中国が引き続き圧力をかけてくることは理解している」と付け加えた。
一方、今回の第2次貿易協議において最大の懸案だったレアアース問題に一定の進展が見られたが、先月のジュネーブ会談で結ばれた合意枠組の詳細条件については、今も協議が続いている。
先月、ジュネーブで行われた第1次貿易協議では、90日間にわたり互いに課している関税率を段階的に115%ポイントずつ引き下げることで合意した。これにより、米国の対中関税率は30%、中国の対米関税率は10%に縮小された。ピーターソン国際経済研究所の試算によれば、中国が米国製品に課す平均関税率は約33%とされている。