ナタンズ核施設を含む精密攻撃、要人6人を排除

イスラエルによる対イラン空爆「立ち上がるライオン(Rising Lion)」作戦は、モサド(イスラエル諜報特務庁)と国防軍(IDF)の長期にわたる連携の下、数年がかりで準備された特殊作戦であることが、イスラエル国内メディア「ワイネット(Ynet)」の報道で明らかになった。
数年にわたる計画と潜入、地上と空から同時作戦展開
安全保障筋の話として同メディアが報じたところによれば、この作戦は「情報収集」「計画立案」「先端技術の密輸・設置」「現地工作員の潜入」など複数の作戦要素を統合した複雑なオペレーションだった。
モサドとIDFの情報機関は、イランの防衛インフラや核プログラムに関与する要人の動静を追跡し、標的の優先順位と正確な位置情報を長期間にわたって蓄積。作戦当日、イスラエル軍の空爆と連動する形で、イラン国内に事前に密かに設置された高精度誘導兵器が遠隔操作され、戦略拠点への同時多発的な攻撃が実行されたという。
また、イラン国内に密輸されていた特殊車両に搭載された攻撃システムも動員され、地対空ミサイル施設を破壊。これにより、イスラエルの空軍機は防空網の妨害を受けず、自由に行動できる空域を確保した。
ドローン拠点も事前設置、情報機関の“眼”をかいくぐる
ワイネットによると、モサドは作戦前に首都テヘラン近郊に秘密裏にドローン基地を設置。ここから爆薬を搭載したドローンを発進させ、イランの地対地ミサイル発射拠点に向けて攻撃を行ったという。
現地筋は「これほど大胆で複雑な作戦を、イラン情報当局に察知されることなく完遂するには、画期的な発想と卓越した計画、そして最新技術の総動員が必要だった」と話している。
イスラエル政府は今回の作戦について、「現場戦闘・情報戦・計画遂行のあらゆる側面が前例なく統合された特殊作戦」と総括している。
軍・核中枢に壊滅的打撃 シャムハニ顧問の死亡も報道
イスラエル側は今回の作戦で、革命防衛隊(IRGC)の総司令官ホセイン・サラミ氏、イラン軍参謀総長モハンマド・バゲリ氏、さらに核科学者6人を排除したと発表。また、イラン最高指導者アリ・ハメネイ師の政治・軍事・核関連の上級顧問であるアリ・シャムハニ氏の死亡も報じられている。
ナタンズ核施設や首都近郊の防衛関連施設も被害を受けており、今回の作戦がイランの戦略能力と情報網に深刻な打撃を与えたことは確実とみられている。