
イスラエルとイランの軍事衝突が続く中、戦争の行方は迎撃ミサイルと長距離弾道ミサイルの在庫勝負に突入している。19日(現地時間)、米紙『ニューヨーク・タイムズ(NYT)』はイスラエルが迎撃ミサイルの生産ペースを上回る速度で消耗していると報じた。イスラエルの安全保障当局の間では、イランの弾道ミサイルよりも先に自国の迎撃ミサイルが尽きる可能性があるという懸念が強まっている。軍はすでに使用対象を絞り、人口密集地や重要インフラの防衛に注力しているとされる。
2021年まで防空システムを指揮していたラン・コハブ准将は、「迎撃ミサイルは無尽蔵ではなく、備蓄には限りがある」と述べた上で、困難な状況でも乗り越えられると語った。イスラエル当局によれば、イランは初期段階で約2,000発の弾道ミサイルを保有していたが、その3分の1から半分がすでに使用されたか、イスラエルの攻撃で破壊されたという。現在は大規模な一斉発射から限定的な発射に戦術を転換している。
イスラエル軍によると、18日午前までにイランが発射したミサイルは約400発。そのうち約40発がイスラエルの防空網を突破して住宅地に命中し、残り360発は迎撃されたか無人地域や海上に落下したとされる。1発のミサイルに複数の迎撃ミサイルを用いた可能性もあるため、実際に消費された迎撃弾の数は不明である。軍事的理由からイスラエルは備蓄量を公表しておらず、長期戦への耐久力に対する不安が国民の間にも広がっている。
イスラエルは現在、少なくとも7種の防空システムを運用しており、高高度迎撃用の「アロー」、中低高度向けの「ダビデスリング」、短距離ロケット用の「アイアンドーム」、さらに新型レーザー迎撃兵器も導入済みである。アメリカも複数の防衛網を提供している。低速ドローンは戦闘機が対処する。ほとんどの迎撃判断は自動化されたレーダーシステムが行うが、状況により発射責任者が即断しなければならないケースもあるという。
戦争の長期化により国民の一部からは「防衛網が疲弊し切る前に停戦すべき」との声も上がっている。イランの攻撃により少なくとも24人の民間人が死亡、800人以上が負傷した。北部の製油施設や南部の病院も被害を受け、民間住宅の破壊も相次いでいる。イスラエル政府が南部ディモナの核施設やテルアビブの軍事司令部など戦略拠点に防衛力を集中させれば、他地域の被害が拡大し死者数が増える恐れもある。
イスラエル諜報機関モサドの元高官ゾハール・ファルティ氏は、イラン国内の核関連施設への攻撃に一定の成功を収めたとして「今後2〜3日が戦争終結の好機になる」と語った。防衛戦略の策定にも関与してきた同氏は、「複数の戦線で同時に弾道ミサイルを防がなければならない状況は想定していなかった」と述べた。
一方、イランのミサイル発射能力を根本から封じるべきだとの主張も強まっている。イランは国内各地に固定式および移動式の発射台を展開し、一部は破壊が困難な地下に設置されている。専門家によれば、これまでに発射台の3分の1以上が破壊されており、同時発射可能なミサイル数は限定されつつあるという。