
米国が21日(現地時間)、イランの核施設3か所を直接攻撃し、中東情勢は新たな局面を迎えた。
米軍はこの日、トランプ大統領の決断により、イランのフォルド、ナタンズ、イスファハンの核施設3か所をB-2ステルス爆撃機とバンカーバスターGBU-57を使用して電撃的に空爆した。
この攻撃はイランの核問題とイスラエル・イラン間の武力衝突、さらには中東情勢全体に重大な転換点をもたらした。トランプ大統領は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で「非常に成功した攻撃」と述べ、全航空機が無事帰還したことを明らかにした。今回の空爆は、イスラエルの先制攻撃に続き、米国が直接イランの核プログラムを標的にした初の軍事行動となる。

イスラエルは13日、「立ち上がるライオン」作戦でイランの核施設と軍事目標約100か所を空爆し、イラン・イスラエル戦争の引き金を引いた。イスラエルは200機以上の戦闘機(F-35Iアディールステルス戦闘機を含む)を投入し、ナタンズ核施設の地上試験用濃縮施設を破壊。さらに、イラン革命防衛隊のホセイン・サラミ司令官、モハマド・バゲリ参謀総長など高官や核科学者を標的に殺害した。
国際原子力機関(IAEA)はナタンズ施設で放射能および化学物質による汚染を確認したが、地下濃縮施設は無傷だとみている。イランは報復として、150~200発の弾道ミサイルと100機以上のシャヘドドローンでイスラエルを攻撃。イスラエル側は少なくとも280人の死傷者を報告した。

米国の直接介入はイスラエルの空爆から8日後に実施された。トランプ大統領は19日に2週間以内にイラン攻撃の是非を決定すると発表したが、わずか2日後にこの空爆を敢行。これは「イランに時間を与える」という発言が欺瞞的戦術だった可能性を示唆している。
米国がイスラエルへの武器供与による間接支援を超えて直接核施設攻撃に踏み切った背景には、イランの核兵器開発が差し迫っているという危機感、イスラエルからの度重なる支援要請、そして米国の超党派的な対イスラエル支持姿勢が複合的に作用したとみられる。
トランプ大統領は前政権時代、アブラハム合意や在イスラエル米大使館のエルサレム移転などを通じ、イスラエルへの強い支持を示してきた。これは米国とイスラエルの間で「認知同盟」と呼ばれる特別な関係を反映している。
イランの核問題は2002年の反体制組織による暴露に端を発し、2015年の包括的共同作業計画(JCPOA)で一時的に沈静化したが、2020年にイランが協定履行を停止したことで再び悪化した。
IAEAはイランが核拡散防止条約(NPT)に違反したと宣言。イランは最新のIR-6遠心分離機を設置し、濃縮活動を拡大した。米中央軍はイランが1年以内に核兵器級ウランの生産が可能だと警告。イスラエルはイランが月300発の弾道ミサイルを生産し、自国を脅かしていると判断した。
トランプ大統領はイランの核保有が自身の任期初期に重大な安全保障上の脅威になると判断し、これを阻止するため先制的な軍事行動を選択したと分析される。
米国の空爆は、イランの反応と事態拡大の可能性次第で中東情勢を左右する見通しだ。
イランはすでにイスラエルからテヘラン・メヘラーバード国際空港、サウスパースガス田、国防省本部などへの空爆で被害を受けている。今回の米国による追加攻撃で少なくとも78人が死亡、329人が負傷し、高官20人以上が死亡する被害が発生した。
イランのアッバス・アラグチ外相は核兵器開発を行わないという和解の用意があると表明したが、ウラン濃縮権を主権として主張しているため、交渉妥結の可能性は低い。イランは中東の米軍基地に報復攻撃を行う可能性があり、これはトランプ政権のさらなる軍事行動につながりかねない。イランの同盟勢力であるイエメンのフーシ派やレバノンのヒズボラが加われば、中東全域に紛争が拡大する危険性もある。
トランプ大統領は今回の空爆がイラン政権の打倒ではなく核兵器開発の阻止が目的だと強調し、地上軍の派遣はしないと明言した。
問題は、イランの核施設が一部しか破壊されず、技術と人材が残っている限り、核プログラムの再建可能性が高いという点だ。
IAEAはナタンズの地下施設が無傷だと報告しており、専門家らは米国のバンカーバスターだけではイランの地下核施設を完全に破壊することは困難だと分析している。イラン指導部が今回の攻撃を契機に内部統制を強化し、核開発にさらに注力する可能性もある。