
先週土曜日のイランへの空爆を前に、ドナルド・トランプ米大統領は前日に重要なヒントを与えていた。
記者団に対し「私は常に平和を求める人間だが、時には平和のために強硬な姿勢を取る必要がある」と述べ、タカ派的なニュアンスを漂わせた。
しかし、メディアはそれよりも「2週間が私がイランに与えられる最大限」という発言に注目した。興味深いことに、「強硬な姿勢を取る必要がある」という言葉を捉えて見出しにしたのは、ニューヨーク・タイムズやCNNではなく、親トランプ系メディア(ブライトバート)だった。
世間はトランプ大統領を予測不可能だと見なすが、彼の言動は刻々と積み重なり、その予測可能性を高めている。
イラン空爆に関して、メディアは過去の米大統領の洗練された含蓄のある言葉遣いや、従来の米国の外交戦略に慣れているため、トランプ大統領が与えたヒントを見逃した。これは大統領選挙のたびに情勢予測に失敗する主要メディアの信頼性低下と同様の偏りの問題でもある。
トランプ大統領は先月のサウジアラビア訪問時、「リヤド演説」で注目を集めた。この場でトランプ大統領は生涯「永遠の敵」という概念を信じていないと強調した。現在の米国の最も親密な同盟国も、かつては米国と戦争を交えた国であることを想起させた。

彼の頭の中では、昨日バンカーバスター14発で攻撃したイランが、明日には米国の友好国になる可能性もある。逆に、トランプ大統領と極めて親密なイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が、明日にはトランプ大統領の不興を買うかもしれない。
実際、トランプ大統領は先月、イスラムテロ組織を率いた経歴を持つシリアの暫定大統領と握手を交わし、シリアへの経済制裁を大胆に解除した。これは、彼の第1期政権時の北朝鮮の金正恩総書記との蜜月関係を想起させる展開だ。
カタールからボーイング機を贈与され、戦争被害国のウクライナから鉱物資源協定を取り付けたこの「正直な野蛮人」たる米国のリーダーは、我々の固定観念からすれば無謀で愚かに映るかもしれないが、決して予測不可能な政策決定者ではない。
中東の混乱が収まれば、トランプ大統領はすぐに朝鮮半島に目を向けるだろう。
指導者が変わらず「トランプ経験」を積んだ北朝鮮とは異なり、韓国の新政権は集中的な分析とコミュニケーションの努力が必要だ。
人工知能(AI)時代に適応しようとする企業にとって「過剰投資」より「過少投資」が致命的であるように、トランプ時代の首脳外交では過剰なコミュニケーションが原則となる。
「永遠の敵はいない」と主張するトランプ大統領との初対面で、韓国の新リーダーが「血で結ばれた同盟」を強調すれば、トランプ大統領は彼を感情豊かだが洞察力に欠ける人物と見なすだろう。

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